体を車に例えると、僕が載っている車は80年も乗ったオンボロ中古車だ。そのうえこの前事故に逢って、制御部門のITチップが破損し車の左半分の制御がおかしくなった。つまり、アクセルを踏んでもスピードは出ないし、ハンドルを回してもうまく、進行方向がコントロールできない。
従って、「車いす」と呼ばれるレッカー車に載せて移動している。レッカー車の駆動力はドライバーの右足で、エッチらコッチらと右足を延ばしたり折り曲げたりしている。その間、当の車はレッカー車の上で居眠りをしている。何ともオソマツなことで、できることなら直ちに新車に買い替え今の車は廃車にしたいところだ。レンタカーなら、もう少しましな車に借り換えたいところだ。オンボロ中古車に愛着が無いわけではない。一番の愛着はこの車でいろんな山に登り、
いろんな国へ出かけて苦楽を共にした思い出を、このオンボロ車が覚えていて呉れることである。ふくらはぎを揉めば、前穂高の頂上を思い出すし、腰を延ばせばオーストラリアのコンドミニアムに滞在中、併設されていたプールで、月夜に泳いだことを思い出す。それらは、水晶の球のように大切なものだけれども、だからといって、オンボロ車はもう嫌だ。願わくば、オンボロ車のメンテナンス技術の「革命的進歩を!」だ。ノーベル賞を受けられた中山先生のips細胞技術の進歩か。確か中山先生のご専門は「再生医療」だったと思う。。文部科学省も中山先生の研究に特別予算を組んだと聞いた。それにしても、同病者の多いことに驚かされる。この老人ホームの浴室には寝浴と呼ばれるベッドに寝たままでお風呂に入れる施設があって、入浴の順番待ちで行列をつくっている。
半身不随も重傷な人になると褥瘡(じょくそう)ができる。入浴前に包帯を外し、ガーゼ交換が行われるがそれが随分痛いらしい。患者さんは何時も悲鳴を上げている。入浴後薬を付けて絆創膏をあて、包帯が巻かれる。これらの作業は介護さんも大変だが患者さんも大変なようでヒイヒイ言っておられる。僕は隣にいて座浴の順番を待っている訳だが、もしあんなになったら是非「安楽死」をお願いしたいと思っている。既に平均寿命を生き、全快しても余命は短い。