本稿「「夕焼け」でヴェルレーヌの詩について書きましたが、もし間違っていると読者にご迷惑をおかけすると思いアマゾンの「ヴェルレーヌ詩集」新潮文庫堀口大學訳を注文しました。その本が今日届き、早速調べて見ましたら、脚注に
上田敏先生の名訳で「秋の日のヴィオロンのため息身に染みての名調子で人口に膾炙しているので」とありましたから、前出の詩の訳者は上田敏先生でした。謹んで訂正させていただきます。なお、詩の訳と云う作業は大変なことで堀口先生も自分の訳を発表されてから数年後、ヴィオロンのというのは秋風が竹の切り口を通るときに出すモガリブエのようなものと気が付かれ、『秋風のヴィオロンのとされたそうで、原作には「秋のヴィオロンの」となっており、日も風も入っていません。と書いておられます。
蛇足ながら、若いころ皆に人気のあったハイネの詩集も取り寄せました。今こうして読んでみると、ヴェルレーヌの方が断然よくハイネなんかお呼びでない感じです。若いころこの面白さに気が付いていたら、フランス語も勉強しいろいろな訳を読んで比較すれば面白かったでしょうに、と思えてなりません。60の手習いは聞きますが、70の手習いは聞いたことがありませんので、残念ながら、今からの勉強は無理です。(E)
参考までに堀口大学先生の訳をかきます。
「秋の歌」
秋風の 時の鐘
ヴィオロンの 鳴りも出づれば、
節ながきすすり泣き 切なくも胸せまり
もの憂き悲しみに 思いぞ出づる
わが心 来し方に
傷つくる。 涙は湧く。
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