長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

白井晟一研究所

2010-08-19 07:29:45 | Weblog
天真庵のHPに昨日、「白井晟一研究所」のサイトを
リンクした。松涛美術館、芹沢圭介美術館や、長崎の親和銀行
などを設計した建築家。書や装丁も有名で、特に書は、「文人の書」
としては最高峰にある。天真庵のピアノの横に飾ってある「生」
というのは、白井晟一の書だ。たった一字で、力強さといい、やわらかい
バランスといい、言葉では説明できない芸術だ。
グーグルで「好きな建築家ランキング」で検索すると、どのくらい
人気があるかがわかる。

白井晟一さんの次男、白井磨さんは、ぼくの蕎麦の師匠、達磨の
高橋さんの広島の道場と、自宅を設計した。そのご縁で、ぼくは
そこで蕎麦打ちの修行を、させられた。
天真庵に飾ってある時計や燭台や鏡や、ランプの一部は、白井晟一
さんが生前使っていたものだ。
天真庵という画廊をつくったのが、平成8年。その前後くらいの
あるよき日に、白井磨さんと出会い、その日の午後、銀座で個展
をやっていた陶芸家の久保忠廣さんと出あった。そして、自分が
個人的に使用する器と、お店の器の、「ほぼ9割」が久保さんの
器になった。
画廊を始めたはいいが、織部と志野と黄瀬戸のことも知らず、
お茶の世界や、建築、書、装丁には、まったく門外漢のシロウト
だった。それを、懇切?丁寧?とはいけないが、よく鍛えていただいた、
と感謝申し上げたい、恩人の2人。ふたりも、自分も恩人より「オジン」
になったけど・・・

いい師にめぐり合うことは、人生のなかでとても大切な邂逅だ。
でも原則がある。それは、「彼をいい師にさせていただこう」と、
弟子が、自ら発見することだ。
「文人」みたいな人が少なくなったけど、これからの時代は、
文人墨客みたいな気概を持った生き方が、みな必要になってくるのでは
なかろうか。そんな時代が迫ってきたと思う。文人の書の「生」
という字も、これからいろいろ生きてくる。