昨日より更に暖かい一日だった。
昼ごはんを食べて、以前から行こうと思っていた映画に行ってきた。
「蟻の兵隊」
私は戦後生まれであり、実戦に行かなかった親からも「日本の戦争」について殆ど聞いたことが無く、映画や本からの知識しか持ち合わせていない。
ただ、日本軍に関しては森村誠一の「悪魔の飽食」なかにし礼「赤い月」などの本で読んでいい印象は持っていなかったのだが、この映画でも更に嫌悪感を抱いた。
敗戦後の1945年8月に中国山西省にいた日本軍は国民党に降伏した。
戦後、共産軍との戦いに日本軍の兵を必要とした閻錫山(えんしゃくざん)将軍は日本軍の司令官との密約で2600名の日本兵を残留させた。
彼等は司令官から皇軍としての戦いを命じられ数年に渡り死闘をする。
多くの日本兵が戦後に戦死し生き残った兵士は帰国後も軍籍は外され軍人としての補償からはすべて外された。
この映画は、最年長でも80歳の彼らが訴訟したが確たる証拠が無くその中の奥村和一という当時初年兵だった人を追ったドキュメンタリーだ。
奥村さんは「自分達は国民軍の傭兵では無く日本軍司令官と将軍との「密約」で戦残留した。その証拠を探す為に中国に渡る。
中国での目的は他にもあり「肝試し」として中国人を殺した、その事実をもう一度検証し、自分の罪を見つめることもあったが不意にその過程で日本軍が中国の女性を強姦し、自分が見張りに立ったことを思い出す。
そして、その当事者と面会し、言葉が無く黙って聞いているとその婦人から「貴方はもう十分に反省している、帰国して奥様にお話しなさい」と、励まされる。
さらに、日本軍の残虐行為も直接聞き奥村さんも苦悩する。
奥村さんは最初思っていた自身の事より所属していた日本軍の鬼のような行為に愕然とする。
奥村さんの証拠探しは死ぬまで続く事だろう。
私はこの様な経緯で戦後を生きてきた方がいる事を知らなかった。
戦争とは一人ひとりの人生を狂わせるものなんだととくづくと思った。