午後郵便局に払い込みに行った帰り、喫茶店の前にビラが貼ってあるので立ち止まった。
店のマスターが「こんにちわ」と、声をかけてきた。
実はここのハンバーグが美味しいと聞いていたのでちょっと気になるお店。
ビラを読むと安佐町の「休日の家」でライブがあると書いてあり、先日通りかかった時遠くから電気の光が見えたので「ママは元気でいるかしらねえ」と、夫と話したばかり。
演目はギター演奏と唄でジャズや60年代フォークと書いてあり、私の好み。
狭くて小さなスペースだけど昔は盲目の歌手「長谷川きよし」も来た事があるライブハウスになるそうだ。
マスターは変人で仕事上でも話しに行った事がある。
大田川沿いの人家の無い場所で私が知る限りでも30年、いや40年だろうか。
殆んどママが一人で切り盛りしていて、これまで何度行った事だろう。
何の変哲も無い川の流れや風景。
これを頑固に守り、他には誰も店を出す事が出来なかった。
ママはジャズのレコードを出して好きなだけ聞けと言う。心が傷ついたり疲れた時、私達夫婦はこの風景を眺め癒された。
私にも夫にも危機があり、ここで何時間も音楽を聞いたり、お客さん同士で喋ったり、ママと会話をしたり・・・そんな中でじわっと解決方法が見つかる。
メニューらしきものは無く、お腹が空いたら何か簡単なものを作ってくれる。
私の友人のご主人が亡くなった時もみんなで彼女を連れて行った。けれど、どうしたらいいかわからず黙っていると、ママが優しく語り掛けて話を聞いてくれている。
そんなこともあったなあと、「ママは元気にしてるのかしら?」と喫茶のマスターに聞いた。
「え!」と言って喫茶のマスターがずっこけそうになった。
私も「え!」と言って後ずさりした。
「あれは・・・」と、話し始めたのを聞くと数ヶ月前にその喫茶に来て3日後に亡くなったそうだ。
お店が勿体無いからと息子さんの友人が続けているみたいだが詳しいことはわからない。
日曜日、お店でライブをしようということになったのだそうだ。
いつか聞いたおじさんの話「インドで死んでくる」と出かけたが死ねずに帰って次にインカに行って死ぬと出かけたがこれも死ねずに帰って・・・と、おじさんの風来癖をあそこにでんと構えて見送った話し、面白かったなあ。
ちょっぴり寂しくて「癒される場所」を失ってちょっぴり不安。
ママ、お疲れ様でした。