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秋入学が「国際化」?

2012-01-21 22:42:55 | 政治経済
以前にも「秋入学」の話題が出たとき反対の意見を書いた記憶がある。

本当に学生のためになるのか、本当に学生のことを考えての意見なのか、
学生のためではなく、先生方のご都合ではないのかと疑問に思ったからだ。

「秋」といっても、半年ずらして「10月入学」ではなく、
「9月入学」というのも気に入らない。

9月にスタートするのは昔の小中高の2学期くらいで、
なぜ9月なのかよくわからない。

今では小中高も2学期制のところが多く9月は大した区切りにはなってないけど。

いろいろと9月入学のメリットというか理由が取りざたされているが、
どうも「国際化」「グローバル化」が一つのキーワードのようだ。

しかし、入学時期を合わせたら国際化になるのか。

そもそも大学の国際化、グローバル化っていったいなんなんだろう。

9月入学だと留学生が受け入れやすいらしい?
留学生が多いことが国際化なのかな。

国大協のHPによれば、
知識・技術の創造、中核人材の養成、教育機会の保証を通じて、
知識の創造と伝達の場として大学があり、
産業界(産)、行政(官)との協力関係、いわゆる産学官の連携によって、
「グローバル化・21世紀型知識社会の構築」を目指すものらしい。

(図で書いてあり、具体的な説明がないので私の理解内容です)

まず第1行目に
「グローバル化の中で、新しい知識社会を構築することが
 日本社会の大きな課題となっていることはいうまでもない。」
とあり、いわゆるグローバリゼーションの中で、
大学自身がグローバル化することは、説明の必要のない大前提らしい。

国大協の説明の続きを見ると、日本の国立大学は世界トップレベルの大学に
伍しており、自然科学系の論文の数は多く、論文の被引用回数は増えつつあり、
企業との連携も深まっているそうだ。

国立大とその他の大学の比較は大した意味をなさないと思うけど、
国立大に多くの税金が突っ込まれているという批判をかわすためか、
高等教育への国家支出は先進国の中では最低レベルで、
奨学金は減っているが、委託研究は増えていると書いてあった。

企業などからの委託研究が増えていることは良いことだと思うし、
大学での研究成果を大いに実社会に反映していけばいいと思う。

でも、それはグローバル化とはあまり関係がないように思える。
そもそもなぜ9月なのかについては大学の意義や目的からは想像できない。

はっきり言って欧米と合わせること以外に、なぜ9月なのか判らない。



さて、ここで視点を替えて、9月入学になったとしよう。
東大の試案では入試は3月から変えないらしいから、合格してから入学までの間、
4月から9月までは何をすればいいのか。

大学はこの間、入学予定者に何かフォローするのだろうか。
ニュースを聞く限り何もしないように聞こえる。

伝え聞くところによると(数学ではなく)算数もまともにできない学生がいるらしい。
これが大学の教育かと疑うような授業概要(シラバス、レジュメ)の教科もある。

この間、高等教育に耐えられるだけの基礎学力をおさらいするのならともかく、
世の中、東大に入学するような優秀な学生ばかりではないんだから、
入学予定者の自主性に任せるのは無責任ではないか。

そもそも大学の授業の進め方が高校までと違って戸惑う学生が少なからずいるんだから、
この間、大学から遠ざけるようなことは逆効果としか思えない。

大学高等教育に対する基礎学力、それぞれの学問分野の基礎知識の強化に充てるなら、
9月入学も意味あるかもしれない。



次に、卒業について考えてみよう。

8月卒業になれば翌年の4月まで就職できない、
仮に企業が9月入社も認めると採用活動負担が大きくなる、
だからダメみたいな論調があったが、これはちょっと違う。

確かに大量入社で一括して新人教育なんてことを考えると
一時期に入社した方が便利。
しかし、全社一斉の新人集合教育が本当に必要なのか。

また、人事考査や昇給昇格などのシステムを考えると
同時期入社のほうが簡単だけど、人事部の都合ではなく、
現場が必要な人材を必要な時期に採ればいい。
中途採用、随時採用へと変わっていく必要はないのか。

そうすることで日本全体の労働流動性も高まるし、
非正規雇用と正規雇用の差も減っていくと思うけど。

それから9月入学だから8月卒業である必要はないわけで、
グローバル化で欧米に合わせるというのなら、
アメリカみたいに卒業時期を年複数回にすればいい。
(日本も前期終了時(秋)卒業はあります)
なんか聞くところによれば、卒業時期は大学によっても違うらしいですね。
全国一斉って感じじゃないらしい。

更にいうと入学時期も年1回じゃないらしいですな。
(日本でも放大のように4月/10月入学のところもある)

そこん所どうするつもりなのか。



次に在学中はどうするのか。

別に大講義室が悪いとは言わんけど、講師が喋るだけの一方的な授業、
聞いてんだか聞いてないんだか、判ってんだか判ってないんだか、
飲食おしゃべりはするけど、質問はしない、ただ出席してるだけの学生たち。

まあ、とにかく授業に出て、試験に受かりゃそれでOK。
それほどがっつり勉強しなくてもテキトーに単位もらえば卒業できちゃう。
そういうことはないんでしょうか。

映画「ソーシャル・ネットワーク」でもマーク・ザッカーバーグや学友は、
デートに、パーティにクラブにと忙しくやってたし、
授業風景はあまり出てこなかったけど、ああいう有名どころの大学は
ほとんど全寮制で、遊びもするけど、実は勉学三昧だって聞きます。

バスケットボールや、アメリカン・フットボールの選手だって
学業成績が下がればレギュラー外されると聞いたこともあるし、
まあ、学生が勉強するのはあまりにも当たり前なんで
映画の題材にはならないのかも。

更にいうとアメリカの大学は夏休みが長いらしいですが、
実はこの間も授業はあるらしく
(補講のケース、特別カリキュラムのケースなど多様)
単位取りまくって3年で卒業する強者もいるらしいですね。
いわゆる飛び級ではありませんが、日本じゃできません。

**

いろいろ書いてきましたが、伝え聞く範囲での9月入学移行は反対。

どうしてもやるなら
・4月から9月を放任せず、基礎学力底上げを大学主導で行うべし
・卒業時期の多様化、3年で卒業など授業/単位取得の改革も行うべし
・授業/講義内容の改善改革も行うべし

ただ入学時期を9月にするだけで、後はなんも変わりなしでは悲しすぎる。
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