村下孝蔵忌

ヒゲは、ごく小さい頃に、ＳＬで熊本県の水俣に行ったことがあります。
父親達と共に、恋路島か通詞島かのバンガローでキャンプをしたのです。
遊びは、専ら黄金グモを使ってのクモ合戦。
水事情が大変だった記憶があります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
時は流れ１９９９年の６月、入院中のヒゲは、原因不明の高熱に浮かされていました。
午前中は、もうすぐ退院でも出来そうに調子良く、ご機嫌でいたのに。
時計の針が午後四時を指す頃から、ジワリと様子が変わるのです。
食事前の六時には、体がハレぼったく感じ始めて、食事が運ばれても、もう食べる気が失せてます。
背中は、湯気が上がる様にして、息も絶え絶え。

ある時は、検温した国立病院の看護婦さんが、体温計を見て部屋を飛び出しました。
なんと、４０度を超えていたからです。
意識が薄れる中、　「　もう助かっても、頭はポイポイになるしかないのか？　」　と、
絶望的な気分が襲って来ます。
慌ててドクターがやって来て、熱下げの薬投与の話しに。
飲み薬と坐薬が在り、坐薬の方が良く効くそうな。
こんな状態で弱り果てているヒゲには、選択の余地はありません。　
お任せするしかないのです。
用意された氷のうの気持ちイイこと！！
生涯で一番の冷気は、紛れもなくこの時の氷のうでした。
そして夜が明けると、まるで昨夜は何事もなかったかの様に快復してみえるのです。
しかし、再び夕刻を迎えると、同じことの繰り返し。
熱で、のたうちまわるヒゲ。

１９９９年６月の同じ頃、水俣出身のシンガーソング村下孝蔵さんも病気と闘っていた。
肝炎を患いながらも、懸命に生きている最中のリハーサル時に倒れたのでした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
孝蔵さんは、神に愛され過ぎた。
一方、神に嫌われるヒゲは、どうにか生き延び、次の狭き門をくぐることに。

　　Am 　 さみだれは　　G ♪　 FM７ 　 みどり色 　　DM７　 ♪

水俣の夕陽が似合うイイ男だったのに、もうすぐ１７回忌。

　　　　　　　　　　　
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