田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

天婦羅の楽しみ~エビ

2016-09-28 15:50:26 | よもやま話・料理編
いよいよ天婦羅の主役、エビの登場です。
さて、当時の京都、ボーズ(見習い坊主)には、包丁を握る機会はありませんでした。
早く仕事を覚えたいけど、包丁を持っては、させて貰えないのです。
見て、凝視して、盗み見、記憶する事を、叩き込まれるのです。
早く実地で覚えたいと云う、枯渇が染み込みます。
例えば、砂漠を歩いてきて、一杯の水の美味しさに感動するように。
枯渇して、やっと水のありがたみを覚えます。
同じように、仕事をさせて貰えない時期を耐え忍ぶことで、
仕事のありがたみを覚えるのです。
今は、さすがに違うそうですが。

そんな中、唯一、包丁を使ってイイ時がありました。
天ぷら用のエビを仕込む時です。
だから、ヒゲ達ボーズは、嬉しそうに直ぐに集まります。
先ず、36~40の冷凍エビの皮と尾の三角突起を剥きます。
           
そして、背わたを取る作業で、初めて包丁を使う事が許されます。、
しかし、使う包丁は大出刃包丁です。
ほら、大きな鯛の頭なんかをカットする時使用する包丁。
    
背わた(黒っぽいヒモ状の)は、ごく細い部位です。
そんな細い所に、大きな出刃包丁を使う。
まるで、『鶏を捌くのに、いづくんぞ牛刀をもちいん』 の見本みたい。
なるほど、馬鹿げた修行ですが、この工程がのちのち効くのです。

そんなこんなで、ヒゲ達ボーズには、使い勝手の良いはずの合出刃や小出刃は
許されません。
しかも、背わた取るにも、左指とのコンビで、一度に作業する様に言われます。
それが上手に出来る様になると、やれ包丁を入れるのが深いの浅いの小言を受けます。
そんな工程を通して、ボンさん達は、大出刃包丁の重さを指先で、或いは体で覚えるのです。
この経験も又、非常に大事なカテとなるのです。
やっとこさ背わたを取ったら、タテ塩(海水程度の塩水)でもみ洗いして、
乾燥ふきんで水気を取って、揚げ場の先輩に託します。

しかし、こんな作業でも、やがて競争を求められます。
もうボーズ達がおしゃべりしながら、ゆっくり楽しく海老の皮を剥く事が
許されなくなります。
いかに早くむき終えるかの競争を強いられる。
早く終わった者が、背わた取りの作業を許されます。
     
更に、その後のコシ折りの仕事も、早い者勝ちに。
いや~、世の中厳しいですネ。
                    ~~~ つづく ~~~


         人気ブログランキングへ 
     http://blog.with2.net/link.php?1046790  
          ↑ 参加中です。クリックしてもらえたら嬉しいです。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする