田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

救世主〜YK35④功罪

2021-11-18 15:57:14 | 田園ものがたり
さて、各酒造メーカーさんがYK35が公式だと理解しても、吟醸酒造りは
そう簡単ではありません。
先ずは、酒造好適米の “兵庫県・特A山田錦” の量を確保するのが大仕事。
なにしろ、公式が分かってからは、各蔵元が欲しがる様になったからです。

更に、その米を精米するのに、精米機の具合や米を磨く時間がとてもかかる。
糠(ヌカ)になる部分が多いからです。
マシンの調整や長時間やらで神経を使う精米。
やっと “仁丹みたいな精白米” が出来上がる。
この先にも、壁が立ちはだかります。

先ずは、このジンタン米を蒸す前の仕事。
ストップウオッチを使って、秒単位の “浸水作業” です。
更に低温で醸造している時は、一日中気が抜けない。
「 氷を持って来ーい! 」 杜氏さんの悲鳴が聞こえるようです。

こうして、やっとの思いで出来上がったもろみを袋に詰めます。
その “袋を吊る” して、滲み出る “雫(シズク)” を静かに待つのです。
すると、ふくよかな香りの大吟醸が醸し出されます。
これで、滝野川での金賞〜銀賞。 そして一年間の出荷が約束された様なもの。
蔵人が、ホッとする瞬間でしょう。
     

やがて、このサクセス・ストーリーは、各地の蔵元の耳に入る。
それに追随しようと、皆んながYK35の大吟醸造りに勤しみます。
こうして、あちこちで至高の日本酒が造られ、酒文化の華が開いたのですが。
この風潮が日本酒の衰退のきっかけになり、“芋焼酎の勃興”を招いたのが皮肉でした。
   
江戸の将軍様さえ飲めなかった素晴らしい酒なのに何故?
日本中の多くの蔵元が、皆んなこのYK35という公式に従って醸造します。
すると、当然(!)ですが、同じような極上の酒が出来ます。
問題は、国税の審査員の好みと酒飲みの好みが必ずしも一致しない事でした。
どこのメーカーの酒を飲んでも、あまり変わらないじゃあないか!?
つまり、『地酒』の本質である『各々の蔵がそれぞれの個性的で多彩な味わいを持つ』から
解離したのです。
やがて、酒飲みは、 “吟醸香” に飽いていきます ・・・ !?
なんでも、表が有れば、裏面も有るのですね。
  
    
      

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