「あのお、お爺さんのことだと思いますが」
恐る恐る正三が口を開いた。何度か口を挟もうとしたものの、前田のあまりの剣幕に恐れを抱いてしまっていた。小夜子ですら、気圧されているのだ。正三如きが、だ。 . . . 本文を読む
「ごめんなさい。あたしもおしゃべりしたいんですけど、ほんとに時間が……」
「ちょっと! アナスターシアよ、世界の憧れの的の、アナスターシアよ」
信じられない思いだった。断るなどということは、ありえないことだ。
銀幕のスターたちでさえ、会いたがるのだ。
実際、雑誌社からの取材申し込みが殺到している、と聞いている。
対談の申し込みも、だ。それを、この娘が断る、と。
「あなた、どうかしてる。絶対、お . . . 本文を読む
なんだかんだで結婚をして、覚悟の出来たようなできないような、そんな中で子どもが生まれて。
家族と別れて独りになり、自暴自棄になるはずだったのに救われた――小説とは呼べぬ作品=物語りとポエムに助けられました。 . . . 本文を読む
(~第一部~におけるクライマックスのひとつです)
小夜子は、前田が付きっきりでの世話となった。まったくの素人である小夜子が、破格の待遇を受けている。付きっきりでの世話など、ありえないことだ。棘のある視線が、小夜子に注がれた。
「ひょっとしてあの子、マッケンジーのラバーじゃない?」 . . . 本文を読む