昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

水たまりの中の青空 ~第一部~  (四十四)

2020-12-10 08:00:11 | 物語り
「あのお、お爺さんのことだと思いますが」  恐る恐る正三が口を開いた。何度か口を挟もうとしたものの、前田のあまりの剣幕に恐れを抱いてしまっていた。小夜子ですら、気圧されているのだ。正三如きが、だ。 . . . 本文を読む

水たまりの中の青空 ~第一部~ (四十三)

2020-12-09 08:00:38 | 物語り
「ごめんなさい。あたしもおしゃべりしたいんですけど、ほんとに時間が……」 「ちょっと! アナスターシアよ、世界の憧れの的の、アナスターシアよ」  信じられない思いだった。断るなどということは、ありえないことだ。 銀幕のスターたちでさえ、会いたがるのだ。 実際、雑誌社からの取材申し込みが殺到している、と聞いている。 対談の申し込みも、だ。それを、この娘が断る、と。 「あなた、どうかしてる。絶対、お . . . 本文を読む

水たまりの中の青空 ~第一部~ (三十九)

2020-12-01 08:00:36 | 物語り
(~第一部~におけるクライマックスのひとつです) 小夜子は、前田が付きっきりでの世話となった。まったくの素人である小夜子が、破格の待遇を受けている。付きっきりでの世話など、ありえないことだ。棘のある視線が、小夜子に注がれた。 「ひょっとしてあの子、マッケンジーのラバーじゃない?」 . . . 本文を読む

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