日曜日 柿の里へ出かけた。橋本市の農免道路を西に向け走る。農免道路というからには もちろん農業のために作られた道路であるが この農免道路は橋本から西に延びる「フルーツロード」だ。3月終わり 桜の咲くころに 桃とスモモの花が道沿いの畑を飾る。桃はピンク スモモは白い花をつける。夏の終わりには ぶどう棚に立派なブドウがぶら下がる。そして秋には 柿一色になる。そして 今、畑の柿は 終盤を迎えた。柿に代わって、黄色く みかんがたわわに実をつけている。
私は果物が大好きで 果物さえあれば幸せな気持ちになる。
1月は冬みかんと「フジ」などのリンゴ。 2月になると伊予柑に続いて八朔 甘夏 デコポン など晩柑類が順次出回ってくる。5月ごろ リンゴが終わりになると果物が少なくなって メロンや 輸入もののパイナップルでつなぐ。 7月初めに隣の市のデラウエァの小さいブドウがでる。そして7月下旬になると 地元の農家で作られるとびきりおいしい桃が待ち遠しい。この桃農家は今から10年ほど前に友人に紹介してもらい 毎年ふんだんに分けていただく。分けていただくと言っても 桃は極めて傷つきやすく 少しでも傷つくと商品にはならないので、はねのけられる。そのはねのけられた桃を 「格安も格安」で分けてもらったり ダダでいただいたりする。ここの桃は ひとつとしておいしくない桃に出合ったことはない。桃というのは おいしいものと 拙いものとは極端な差のある果物だ。今までに 地元の桃を買い求めたり 和歌山まで買いに行ったが さっぱり甘味のないものに「大根のほうがましだわ」と思ったことが 何度あったことか。安くておいしいものを求めるのは厚かましい話だが 果物好きの私は 惜しげなくたっぷり食べるには 安くておいしいものでなければ 家計が許さないのだ。ここの農園の桃は 毎年、進物用にもお願いするが 希望者が多すぎて なかなかお願いするのも遠慮がちになる。 待ち焦がれるこの桃農家のご主人夫婦は高齢でいつまでも作り続けてもらえそうにない。いつまでもお元気で作り続けてほしいのだが 農家の仕事は厳しく それでも汗だくになって、おいしい桃を作り続けてくださるご夫婦に「もうお仕事を辞めて ゆっくり過ごしていただかないと」あまりにも申し訳ない気持ちにもなる。
今年は 新たに 地元のおいしいブドウの農園を教えてもらった。ここのブドウもとびっきりおいしい。フジミノリ や 巨砲などの 大きなブドウだ。これらは お盆過ぎから収穫が始まるようで 進物にするにもふさわしいりっぱなブドウだ。同じころから9月にかけて 梨が出てくる。梨は 奈良県の御所市から五條市の東部あたりに昔からの産地があり ここへ買いに行く。
そして 9月末から和歌山の柿が出てくる。最初は「刀根柿」次は「平たね」という品種の,「合わせ柿」だ。合わせ柿とは 渋柿の渋を抜いて販売されるのだが、すぐにやわらかくなって持て余すこともたびたびだ。11月になって 富有柿が出回る。これは甘柿で 実も固く日持ちもする。その柿も 12月に入ると 畑にはほとんど柿は残っていなかったが 「今年最終」という柿を買ってきた。柿はほかの果物よりも安価でたっぷり食べられる。紀の川沿いの日当りのいい温暖なこの地は 日本一の柿の産地だそうで 生産量は多い。広い紀の川を挟んで、標高800m前後の山並みが東西に続いているが 山肌にも柿のオレンジ色が どこかしこに色づく。JAの選果場で 規格外の品をコンテナにいっぱい2500円で売っていた。年内はこれを楽しめる。
かつらぎ町から R480の鍋谷峠を越えて大阪方面に下りた。山中は 紅葉で彩られ 道の傍らにはたくさんの柿がたわわに実り まるでイルミネーションを付けているようだ。串柿で有名な四郷の集落のあちこちに 串柿がすだれのように庭先に干されているのが 遠目にもわかる。大阪側に入ると 風景は一変し 柿の木は全く見られなくなる。寄り道した 紅葉の名所である牛滝の大威徳寺の紅葉は とうに盛りを過ぎていた。賑わう「いよやかの郷」で食事して 帰路に就いた。温かい一日だった。
年末には見事な串柿が店先に並びます。
近年もち飾りをする人も少なくなりつつあるのは
ちょっとさみしいです。