蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

詩 夏は夜死ぬ

2008年10月09日 | 小説
上記の詩は長編です、前半をここにいれます。
以下、

>男が言う
夏が終わろうとする夜半には
奇妙な音が遠くから聞こえる
それは南からの風に乗り
黒い谷を渡り湿った森を過ぎ
寡婦が泣くに似て震えうねり
ふと消える

過ぎ行く夏に捨てられた
何者かが、風吹く流れに
置きざりの悲しみと嘆きを
か細くも、囁き託した恨み節だ

風が吹き流れるまま
谷に森にこの地に広がり
闇の底の街に虚しさを残す

男は続ける。この地の南
二十七㌔に松林がありその先は
砂浜と黒い波が騒ぐ海だ
砂浜には見捨てられたレールと
操車機があり、夜にだけ
夏の終りの夜にだけ気動車が動く

気動車は鼻先を
林に向けようとするが
レールはたわみ
操舵器からはこすれ音が軋み
砂にめり込むだけで動きはしない
役立たずの身体が
去りゆく夏をうらみ嘆いているのだ
あの音は死者の泣き声なのだ
砂にはまった気動車の悲鳴なのだ<

長いので中途で切りました。全文は左のブックマークの部族民HPに入ってください。
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ナンブ理論は反キリスト教的?それで遅れた!

2008年10月09日 | 小説
ノーベル賞に4人目の日本人、喜ばしい限りです。特に御歳87歳の南部陽一郎先生の受賞には、ようやく光が差したという感がしました。さてノーベル賞は日本人研究者には冷たい、不利だという指摘は以前から陰に日向にささやかれていました。その代表に南部先生の名前が引用されていました。
スエーデン王立アカデミーもそれを意識してか「ナンブの理論(=自発的対称性の乱れ)は正しかったが早すぎた」と異例の「弁解」をしていた。そして、
シカゴ大学研究室同僚のクローニン博士が「歴代の受賞者の中で一人かけていた人がいた、それが彼だ」「理論と言うよりも考え方の基本、哲学の様だ」(以上はY新聞から)

私はこのあたりのいきさつが気になったのでナンブ理論とはなにかを付け焼き刃しました。結局分かったのは本人が説明するときの「円卓でのエプロン取り」これもY新聞です。
これではエプロンが左右にあるときが対称性がある。ある時点で一人が右エプロンを取ると、すべてのエプロンに右への(エプロンからすると左)帰属が発生して左右の対称性が破れる。これが「自発的」におこるのだと!その自発性の破れが「最初は光しかなかった宇宙に物質ができた原因」なのだそうです。(以上は新聞などから、本当に理解するには十万年くらい必要なので、一時間ですませました。かなりハショッて解釈です)
まさにへー!!としか感想がでない。しかし、
宇宙で「自発的に」「対称性が崩れる」、これって反キリスト教なのだと思いました。アリストテレス、アクイナス、ニュートン・ライプニッツの思想の流れ、宇宙の統一と予定調和。これがアユインシュタインの(宇宙項、結局取り消した)につながり、ビッグバンも予定調和の筋道としてキリスト教解釈で組み込まれている。しかし「神の意志とは別に」原子レベルで自発的なメカが働いていまの宇宙ができた。とナンブ先生は言っている。これは三百年前であったら異端、邪教、火あぶりは必定ニダ。早かったけれど、もっと早かったら火あぶりですね。物騒ですが、実際に地動説では出ているので。

ナンブ先生のノーベル賞が遅れた理由は実はこの「宇宙創造、予定調和を破壊する反耶蘇性」にあったのではないかと勘ぐっています。反面、日本人であるからこそ発表できた論文です。ノーベル賞として認められてから、これからは世界の哲学・思想にも影響を与えるであろうナンブ理論、やっと(新教とはいえ)キリスト教のスエーデンが認めたんだ。ここに文化史的な重要性を感じています。

左ブックマークの部族民通信HPもよろしく。
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