toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「泥の銃弾」 大森望

2019年06月10日 | 読書日記
日本の近未来を描いた小説。
ハードボイルドミステリーと言ったところだけど、ハードボイルドの要素は低目。
主人公がジャーナリストで、事実を明らかにして自ら公表することが目的だから屈強な刑事とか探偵のようにはいきません。
その元一流新聞の記者が取材に行って自分のことを「俺」って言うかなぁ・・・?
普通の社会人なら一人称は「私」でしょ。ましてや目上の人とか取材対象に。。。
私ですら新入社員研修で教育されましたよ。

ストーリの本筋とは別に難民やイスラム教国などの内戦の話が手を変え品を変えながらいたる所で登場する。
それがストーリの理解を深めるための説明の域をはるかに超えて、そちらがメインの物語?と思うほどの分量と詳しさで、最初のうちは「なるほど・・・」と思って読んでいたけれど、段々読むのが苦痛になってしまう。
本来のストーリそっちのけで直接関係ない話が延々と続き、作者はこれが書きたいがためにこの小説を出したのだろうけれど、こんなにたくさん書かなくても・・。
折角ドキドキしながら読んでいるのに水を差される感じ。それが無ければ、もっと読むことが楽しめたのに残念。分量も上下巻でなく、ちょっと厚めの1冊で収まったのに。

下巻の中頃で本来の謎である狙撃犯が解明してしまう。
(かなり意外な展開だし、納得もできない。)
まだ半分残っているに後は何?と読み進めていくと、そこからスリリングな展開がはじまり、また一気にひきつけられていく。
ただ、狙撃犯の件と同じくその必然性が最後まで理解できないし、冗長すぎて要らないんじゃないの・・。

と言うことで、面白かったのか詰まらなかったのか、自分でも良く分からない。。
ストーリは面白いのに余計な部分が多すぎるってところでしょうか。。

ところでアル・ブラクにはアリバイがあるのでは???





新潮文庫(上下巻)
コメント
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