岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

多摩高20期同窓会によせて作品10首

2009年07月12日 23時59分59秒 | 多摩高20期同窓会
*同窓会の連絡をうけて、記憶はたちまち少年時代へフラッシュバックした。*

 ひたすらにカルタとりした少年期 思いつつ今君の声聞く



*手紙とメールが次々と届いた。*

 ぽつねんと書物を読みし君なりきその記憶さえ既に遥けく

 午前二時ケイタイメールの届きしを知らず朝まで眠りは深く



*同窓会のブログに投稿したエッセイのレイアウトは徹夜作業だった。*

 つぎつぎと思い溢れる夜半にて原稿通りにメールを打てず

 ゆるぎなき幹あらばこそ常盤樹がことさら光る夜の嵐ぞ

 おだやかに星を眺めることもなくただ一心にキーボードたたく

 みずからを咎むべきことある夜は顔を洗えり幾度となく




*レイアウトの完成は翌日の夕方。不意に高校の物理の授業を思い出した。*

 地球にも静かに及びいたるべしヨハネス=ケプラーの第三法則



*体調を整えて、二次会にだけ出席。実質的にはこれが僕の卒業式だった。修学旅行で訪ねた美保の関の景色が脳裏をよぎった。*

 ひたむきに海を見ていた少年期 青の深きは忘れ難しも



*同窓会の翌日は目覚めがおしく昼近かった。夕方は珍しく散歩に出た。*

 急速に陽の翳りゆく階のぼる雨後の落葉を踏みしめながら




語注:常盤樹=ときわぎ(常緑樹、年間を通して落葉しながら新しい葉が芽をだす):階=かい(階段):雨後=うご(雨のあと)


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