岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」:2015年1月(2)

2015年02月17日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
天童大人プロデュース「詩人の聲」2015年1月(2)


6、原田道子 1月22日(木)於)ギャルリー東京ユマニテ


 原田は46回目の公演。最新作から読まれたが、シャーマニズム的な作風がいよいよ冴えている。しっかりした聲で、安定したリズムで、花や植物を素材にした作品が読まれた。今回の公演のテーマだったようだ。

 素材は植物だが、シャーマニズム的世界観に裏付けられた作品が次々と読まれる。植物を素材として、人間社会、人間の心、生き方が表現される。心に抒情が浸み込んでくるようだった。特に最後に読まれた「タンポポ」の完成度が高かったように思う。

 シャーマニズム的と言ったが、インドのウパニシャット哲学に影響されたそうで、その世界観に基づいた作品だけに、それが単なる雰囲気以上のものが聴いている者に伝わって来る。



7、長谷川忍 1月23日(金)於)東京平和教会駒込チャペル


 長谷川は24回目の公演。彼の聲は毎月聴いている。先月は所用があって聴けなかった。一回あけて聴いたが驚いた。長谷川の作品の特徴は、とりわけ都市に住む人間の抒情を作品化したものだった。今回の作品も人間を描いているのだが、作風が田村隆一ばりのものに様変わりしている。

 『田村隆一全集』を読んでいるとのこと。それに影響されて、一時的に変わったのか、新しい境地を拓くべく、意識的に変えようと試行錯誤しているのか。いずれにせよ、この向こうに、新しい長谷川の詩世界が展開されるだろう。


8、高橋睦郎 1月26日(月)於)東京平和教会駒込チャペル

 13回目の公演。この日は得ることが大きく、別途の記事としたい。


9、清水弘子 1月27日(火)於)ギャルリー東京ユニマテ

 8回目の公演。清水は三重の詩人。公演の前後には、精力的に他の詩人の聲を聴いている。毎回、進展が見られるが、何かが形になろうとしている。人間、子ども、自分、他人への愛おしみが、無理のない言葉で表現されている。

 始めの数回は、暗喩の使い方がどことなく、ワザとらしかったが、今回の作品では、暗喩が効果的で、抒情が鮮明に表されていた。独自のポエジーを構築しつつあるように思った。

 清水のフェイスブックには、野鳥の記事が多い。その記事と、作品の抒情の質が一致する。


10、筏丸けいこ 1月28日(水)於)ギャラリー絵夢

 29回目の公演。象徴詩の世界だ。人間の生き方、魂、生き物、への愛おしみが美しく表現されている。社会的な視点を生かした作品もある。聲が安定し、言葉の無駄がなくなったように思う。同じ作品でもリズムが出て来た。前回は都々逸に関するエッセイが読まれたが、それが一つの充電期間となったのかも知れない。

 最後はその都々逸で公演が終わった。なにやら独自の境地を、開いたようだ。


11、福田知子 1月29日(木)於)キャシュキャシュダール

 27回目の公演。自然への畏敬の念、人間への愛おしみ、社会への厳しい目。言葉の甘さがなくなってきたように思う。だが気になることもある。作風が、田村隆一、吉田一穂に似ているのだ。

 人によっては、先行する詩人の亜流ととる人もいるだろう。対馬へ行けば、シャーマニズム的な作品となり、桜の季節の京都を素材にすれば、古風な感じとなる。では福田知子らしさはどこにあるのか。今後はそれが問われるだろう。




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