岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座」52号:巻頭佳詠より(続)

2010年03月26日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
・美しき記憶のままに残さんか机の上の封書開かず・

 僕の机の上には実際にこうした封書が束になっている。どんな封書か何故開かないかは読者のご想像に任せる。


・玉眼のもはや光らぬ仏像の古りたる指が虚空を差せり・

 印象としては、六波羅蜜寺の空也上人像と東大寺大仏殿四天王が重なっている。こういうことも詩の世界では許容されていいだろう。


・満天星はかたくなに根を張りいたり嵐のあとの地層断面・

 「満天星=どうだん」はつつじ科の植物。漢字が読めない人も多いだろうし、僕自身、短歌を詠むようになってから、知った表記だ。だが「ドウダン・ツツジ」では趣が台無し。敢えて「満天星」とした。


・声高に話す男ら不自然な笑みのまにまに頷いており・

 「弱い犬ほどキャンキャン吠える」という言葉が、古今亭志ん朝の噺の枕にあった。これがいまでもわすれられない。(「たがや」)




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