岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

報告『日本近代文学館』「夏の文学教室」2016年

2016年08月09日 17時11分42秒 | 短歌の周辺
日本近代文学館「夏の文学教室」7月25日~30日 於)有楽町よみうりホール


 「夏の文学教室」。今年のテーマは「文学の明治ー時代に触れて」だった。この時代は近代短歌の黎明期。その周辺の文学の時代状況を学ぼうと受講した。

 まずは日程、講師、講座のタイトルを紹介する。


7月25日 姜 尚中「近代の『憑きもの』と漱石」。川本三郎「田園風景の発見ー田山花袋」。

      伊集院静「子規をめぐる明治の文学者たち」「


7月26日 荒川洋治「明治の島崎藤村」。中島京子「『布団』から『FUTON』へ」。

      ロバートキャンベル「都会の中に都会ありー明治の銀座」。


7月27日 絲山秋子「明治はとおくなかりけり」。出久根達郎「読まれざる文豪露伴」。

      北村薫「『半七捕り物帳』と時代と読み」。


7月28日 東直子「与謝野晶子と同時代の歌人」。藤田宜永「『三四郎』『それから』にみる男と女」。

      島田雅彦「実り多き紆余曲折」。

7月29日 平田オリザ「変わりゆく日本語、変わらない日本語」。

      佐伯一麦「小説を書きたかった男石川啄木」。平野啓一郎「自由意志と『諦念』鴎外の文学」。


7月30日 松浦寿輝「文学の戦場ー透谷・一葉・露伴をめぐって」。

      小池昌代「音読で聞く、樋口一葉の世界」。橋本治「明治の光」。


 内容をアトランダムに書く。

「姜 尚中:漱石は帝国主義の時代に近代日本に初めて警鐘を鳴らした。近代という時代と向き合った最初の作家だ。グローバル時代の現在に考えるべきことが多い。」

「出久根達郎:幸田露伴は博学だった。注釈がなく全集があまり読まれないのが惜しい。」

「荒川洋治:藤村は偉大な仕事をしたのに親しみがない。時代への反骨精神がある。生活と芸術を切り結んだが窮屈。」

「北村薫:明治の文学にはその時代の息吹が感じられる。」

「藤田宜永:漱石のこの二つの作品には現代に通じる男と女の問題が描かれている。」

「島田雅彦:二葉亭四迷はロシア文学の影響を受けていたが、翻訳をしながら言文一致の文体を確立し、悩める第三世界のインテリゲンチャとして創作した。」

「佐伯一麦:啄木は政治や他者を自分を通して描いた。」

「小池昌代:一葉の小説には和歌の韻律があり、音読すると味わいが深い。雅な文体だが現実世界と人間を描き社会性もある。」


 明治は近代の夜明けだった。その中で文学者たちは時代や社会や人間と格闘し、文学を切り開いていった。それぞれこの時代の文学はどうあるべきかを思考していた。一番の収穫は明治の文学作品をもう一度読もうという刺激を受けたことだ。それぞれの作者が時代とどう向き合っていたかを感じ取ろうと思う。




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