岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

勢いて話す人らと向かうときたちまちわれの心は鎧う

2010年06月01日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「夜の林檎」所収。「鎧う」は「よろう」と読む。「鎧をまとう」という意味。

 たしか古今亭志ん朝の落語の枕に、

「キャンキャン吠える犬ほど弱い。・・・」

という話があったが、そういうことは世間ではよくある。その「キャンキャン」に真面目に付き合っていると消耗するだけ。プラスは何もない。

 そういう時は黙るに限る。話の内容にもよるが、余分な神経は使わぬがよいと思う。一首の内容はそれだけ。単純至極である。

 ただ現代社会の一側面の切り取りが、比較的うまくいったと思ったので、歌集に収録した。

 歌集を贈った人と初めて会うと、みな驚く。「作品が繊細だ」(線が細いということ)というのだ。(「外見に似合わずノミの心臓の持ち主」と僕は呼ばれるが、神経が細いだけではない、と自分では思っている。<日本語をめぐって」の「議論の仕方」の記事参照。)

 自分で描いている自画像と、他人から見える自分。両方ともいつわざる「われ」である。




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