岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2015年の作品より:5首抄出

2019年02月13日 23時29分23秒 | 岩田亨の作品紹介
2015年の作品より。五首抄出。


・乾きたる更地に寒き風が吹く開発途上の街の一隅「星座」


・こだわりを振りほどき得ぬ顔をして話居るべし受話器の向こう「星座」


・影を踏み影をひきつつ道歩む人の表情おおかた暗し「星座」


・逡巡ののちに決断ひとつしてすがしく過ごす初夏の夕暮「星座」


・わが憂い消すさんほどまでおもおもとヒメミソハギの紫深し「星座」



 この五首はいずれも「星座」に掲載。尾崎左永子主筆の選によるもの。素材はすべて日常。一首目は徒歩3分の分譲地。二首目は自宅。三首目は最寄りの駅に続く鋪道。四首目も自宅である。五首目はFacebookの友人に教えられた花。



 ともに第四歌集「聲の力」以降の作品。心理を掘り下げて表現するのを心がけ始めた作品群。「聲の力」からいくらか進展が見られる。

 このころから植物を読み込むようになった。これも一つの大きな変化だ。




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