岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

地下街の歌:尾崎左永子の短歌

2022年10月17日 22時30分47秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・雫する傘畳みもち地下駅の群にをり群るる者の貌して

「尾崎左永子八十八歌」所収。2015年段階の自信作。

 作者は「群れる」のを厭う。幾度も直接聞いた。戦時中「群れ」となって戦争を遂行した記憶からきたのだろう。国家が民を「群れ」として把握する「マイナンバー制度」にも作者は反対している。「星座」誌の校正の場で「かまくら春秋社」の担当者に向けて明確に言った。

 そんな作者の移動途上の電車の中では「群れる」。その違和感が下の句の破調で表現されているのだろう。

 「地下駅」地下鉄の駅か、地上線の地下か、それは「捨象」されいている。佐藤佐太郎の「表現の限定」。下の句が作者の違和感を「象徴」しているようだ。




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