岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「詩人の聲」:2014年8月(1)

2014年09月03日 23時59分59秒 | 短歌の周辺
「天童大人プロデュース『詩人の聲』」2014年8月(1)


1、柴田友理(26回目公演)8月5日 於)東京ユニマテ(京橋)

 この画廊は地下空間で、元来、聲が響く。柴田の聲を聴くのは何度目だろうか。聴くたびに作品の進展が感じられる。先ず、聲に凄味が出て来た。カフカ、萩原恭二郎を思わせるほど、言葉をカミソリの様に使っている。旧作を幾つか読んだが、前とは違って、リズム、勢い、シリアスさがある。人間の姿を暗示するような作品もあった。また、定型を上手く使った作品、方言をほどよく使った作品があった。柴田は今、詩集を読みこんでいる。天童大人と連れだって古本屋街を、古書を求めて歩いたそうだ。その修練が稔りつつあると感じた。



2、川津望(2回目公演)8月8日 於)東京平和教会駒込チャペル

 天童大人が川津に言った。「いらないものを、たくさんつけているから、はやいこと捨ててしまえ。」しかし、聲はいい聲だった。リズムもある。主題のあるものと、明確でないものが混在したのが惜しまれる。だが2回目でここまでくれば、先は明るい。前回は感じられなかった、「人間への祈り」が感じられた。散文的なものがあるし、言葉を詰め込み過ぎたものもある。

 その辺りが整理できれば進展が期待できる。


3、長谷川忍(第19回公演)8月11日 於)ギャラリー華(広尾)

 長谷川の作品は人間臭い。月に2~3編の新作を書いているそうで、その新作を含めて数編の作品が読まれた。初めて聴いたときは「酒場のタメ言」を感じさせる作品があったが、今回は姿を消した。都市生活者の心情、「人間が生きるとは」という問い、人間の営みの物語。様々な点で進展がみられる。作品の輪郭も鮮明になってきた。リズムも快い。


4、福田知子(第22回公演)8月12日 於)ギャラリー華(広尾)

 福田は病み上がりだった。聲が十分出るのか心配したが、聲はよく出でいた。対馬で聲を撃って、進展があったのだろう。言葉に余裕が出て来た。理屈も消えた。現代社会への眼を持ちながら、自然との一体感を感じさせる作品も見られた。作品に厚みが出てきて、自然を題材としながらも、人間を暗示しているような作品が印象的だった。作品を書くにあたって、五感を張り巡らせているようだ。

 (続く)




最新の画像もっと見る