岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

石垣に茅花が光る歌:尾崎左永子の短歌

2022年10月03日 23時13分07秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・石垣に茅花光りて風ありき父ありき東京にわれは育ちき
「土曜日の歌集」所収。

 作者の代表作のひとつ。原作は「空堀に」だったそうだが「石垣に」に変えたそうだ。その方が緊張感があり音楽性も高い。「風ありき・・・・」も畳み込むようで勢いがある。

 放送作家をしただけにあって、言葉に敏感なのだ。作者自身は「語感」というが「調べ」とのいう「アララギ」の伝統的な手法だが、こういう感覚は佐藤佐太郎にも斎藤茂吉にもない独自のものだ。

またどこの「空堀・石垣」かは「捨象」されている。「表現の限定」「言葉の削ぎ落し」。また「風ありき・・・」以降は望郷の念を「象徴」している。

「表現の限定」「象徴性」を引きつぎながら独自性のある作品である。






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