・鶴見川光ゆたけき午となりて水すれすれに海鳥あそぶ
「尾崎左永子八十八歌」所収。2015年段階の代表作
この作品の魅力は「透明感」である。鶴見川は都市部を流れる1級河川水も汚れていよう。だがこの作品から感じ取れるのは「水の豊かさ」「透明感」だ。「水鳥」の「白い」イメージが湧く。白くはないかも知れないが、それほど「透明感」が際立っている。
作者の美意識を具象化した作品だ。
「午」は午後だが、「時刻」は「捨象」、「海鳥」の「色・種」も「捨象」されている。佐太郎の言う「表現の限定」、作者の言う「言葉の削ぎ落し」だ。