岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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やがて来る運命を知らず痛々し 養鶏場のレグホンの白

2010年04月07日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「夜の林檎」所収。

 国内で初めて「鳥インフルエンザ」が流行したのは、ちょうど旅行中のことだった。新幹線の待合室で「白色レグホン」が大量に土に埋められる映像と、埋められるのを待つ鶏の映像を見た。

 大量の鶏は自分が処分される運命にあることを知っているのだろうかと、ふと思った。知っているはずはないのだが、鶏とはいえ殺される運命にあるのは何とも痛々しかった。かといってウイルスの蔓延は防がねばならない。

 この年はちょうど中国で新型インフルエンザ(サーズ)が流行、アフリカではエボラ出血熱が猛威を振るっていた。自然の驚異である。

 一説によると、熱帯雨林には未知のウィルスがあるという。開発が進むにつれてそれらのウィルスが人間の脅威になったのだと。こう聞くと、「新種のウィルス」による疾病は人間のなせるわざともいえる。とすれば処分される鶏も被害者か。加害者は開発を進めた人間か。・・・

 このころ中東での戦争も激しさを増していた。そこで次のような歌も詠った。

・戦況を報じるニュースその間にも新種ウィルス増えゆくという・「夜の林檎」





付記:< カテゴリー「岩田亨の短歌自註」 >をクリックして、関連記事を参照してください。

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