「天童大人プロデュース」「詩人の聲」第1051回 於)ギャラリー絵夢(新宿)
「あえいおえおあお かけきくけこかこ させしそせそさそ たてちとてとたと
(発声練習:天童大人から尋ねられたが、
これは、母校、神奈川県立多摩高等学校の、演劇部及び合唱部の発声練習。)
今回は私の第二歌集「オリオンの剣」の音読の最終回。それとともに制作中の30首詠、50首詠も、時間の許す限り読みたいと思います。
・戦場
戦場は海のかなたにありぬべし青また青の連なりの果て
・仮面の重さ
時ならぬ風ありて不意の思いたりアガメムノンの仮面の重さ
・有翼一角獣
壁面の有翼一角獣巡れるわれをいま威圧する
・決断
ネーブルのみずみずしきに歯を立つるあるある決断を下したるあと
・霊薬
漢方の霊薬として屠蘇を飲む術後間もなきこの歳晩に
・ほどけざる煩い
ほどけざる煩いおおく珈琲に今日はたっぷりミルクを注ぐ
・蝶渡る道
腸渡る道なりという森のなか花の咲かざる摂理の不思議
・猪独活の花
塵あくた吹き飛ばすべき疾風を待つごとく咲く猪独活の花
・追悼
追悼のトランペットの音聞きてうつみき居れば蟻が群れなす
・K氏への挽歌
みずからを問うに疲るる日もありぬ友よ静かにしずかに眠れ
(このあと制作中の、30首詠、50首詠を読んだ。)」
今回は、新しい試みを幾つか行った。前回までは、一首あたり3回聲に出していたのだが、今回は2回にした。自分で読んでいて「しつこい」と思ったからだ。
また、30首詠、50首詠は1首をゆっくりと1回ずつ丁寧に読んだ。本来なら、これが適正な読み方だ。
「オリオンの剣」は、神奈川県歌人会の「優秀歌集」の最終選考に残ったもの。しかも収録歌は「運河賞」佳作、「運河年間賞」次席、そのほか各種短歌大会の入選作が多かった。
だが実際に聲に出すと、全く読み難い。リズムが悪いのだ。不自然な「句またがり」「唐突な結句」など問題点が目についた。
それに対して、30首詠、50首詠は、聲が通る、リズムも良い、全体に流れがある。ここまで変わるとは、思いもよらなかった。30首詠、50首詠は、1回ずつ読んだのだが、つい2回読んでしまったものがあった。
天童大人は「ここまで変わるものだねー。いい作品は2度読みたくなるだろう?」と言った。
僕は第四歌集を出す時は、新作を全て「聲にのせて」、作品の取捨選択をしようと思う。天童大人も「それが本来的なあり方だ」といった。
2次会では、天童大人から、チラシのレイアウトのアドバイスを受けた。今回も新たなる発見が多かった。
(次回は、3月18日に、一度目と同じ自由が丘の画廊で行う。ここでも新たなる発見があるだろう。)
翌日は、体全体が痛んだ。全身で「聲」を撃ったためだろう。