岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

報告「天童大人プロデュース:詩人の聲」参戦 5

2014年02月06日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「天童大人プロデュース」「詩人の聲」第1051回 於)ギャラリー絵夢(新宿)


 「あえいおえおあお かけきくけこかこ させしそせそさそ たてちとてとたと
    (発声練習:天童大人から尋ねられたが、
      これは、母校、神奈川県立多摩高等学校の、演劇部及び合唱部の発声練習。)

 今回は私の第二歌集「オリオンの剣」の音読の最終回。それとともに制作中の30首詠、50首詠も、時間の許す限り読みたいと思います。


・戦場

 戦場は海のかなたにありぬべし青また青の連なりの果て

・仮面の重さ

 時ならぬ風ありて不意の思いたりアガメムノンの仮面の重さ

・有翼一角獣

 壁面の有翼一角獣巡れるわれをいま威圧する

・決断

 ネーブルのみずみずしきに歯を立つるあるある決断を下したるあと

・霊薬

 漢方の霊薬として屠蘇を飲む術後間もなきこの歳晩に

・ほどけざる煩い

 ほどけざる煩いおおく珈琲に今日はたっぷりミルクを注ぐ

・蝶渡る道

 腸渡る道なりという森のなか花の咲かざる摂理の不思議

・猪独活の花

 塵あくた吹き飛ばすべき疾風を待つごとく咲く猪独活の花

・追悼

 追悼のトランペットの音聞きてうつみき居れば蟻が群れなす

・K氏への挽歌

 みずからを問うに疲るる日もありぬ友よ静かにしずかに眠れ

 (このあと制作中の、30首詠、50首詠を読んだ。)」

 今回は、新しい試みを幾つか行った。前回までは、一首あたり3回聲に出していたのだが、今回は2回にした。自分で読んでいて「しつこい」と思ったからだ。

 また、30首詠、50首詠は1首をゆっくりと1回ずつ丁寧に読んだ。本来なら、これが適正な読み方だ。

 「オリオンの剣」は、神奈川県歌人会の「優秀歌集」の最終選考に残ったもの。しかも収録歌は「運河賞」佳作、「運河年間賞」次席、そのほか各種短歌大会の入選作が多かった。

 だが実際に聲に出すと、全く読み難い。リズムが悪いのだ。不自然な「句またがり」「唐突な結句」など問題点が目についた。

 それに対して、30首詠、50首詠は、聲が通る、リズムも良い、全体に流れがある。ここまで変わるとは、思いもよらなかった。30首詠、50首詠は、1回ずつ読んだのだが、つい2回読んでしまったものがあった。

 天童大人は「ここまで変わるものだねー。いい作品は2度読みたくなるだろう?」と言った。

 僕は第四歌集を出す時は、新作を全て「聲にのせて」、作品の取捨選択をしようと思う。天童大人も「それが本来的なあり方だ」といった。

 2次会では、天童大人から、チラシのレイアウトのアドバイスを受けた。今回も新たなる発見が多かった。

 (次回は、3月18日に、一度目と同じ自由が丘の画廊で行う。ここでも新たなる発見があるだろう。)


 翌日は、体全体が痛んだ。全身で「聲」を撃ったためだろう。





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