岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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夜のふけの犬の歌:尾崎左永子の短歌

2022年09月17日 19時50分03秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・夜のふけに犬は鎖音ひきて眠りのかたち選びゐるらし
「夕霧峠」所収。

 場所・地名・犬の種類は「捨象」されている。佐藤佐太郎が言う「表現の限定」だが、作者は「余剰の切り落とし」と呼ぶ。「感動の中心」を明確にするために、「個別具体的なものを捨象」するのだ。

  「NHK歌壇」のテキストに、作者が「犬は飼えない」と記述していたので、近隣の犬かと思う。

 飼い犬が「眠る時にも、鎖に繋がれるのは、拘束」を連想させる。それを象徴的に表現したのが、「鎖音ひきて」というやや、破調気味の表現だ。

 これは光景を詠っているが、心理詠の性格が強い。拘束を作者自身が忌避しているように思える。







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