岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

軍装を解くがごとくに背広脱ぎ退社してより二十年経つ

2010年04月21日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「夜の林檎」所収。

 この一首を初めて読んだ人は、僕のことを「80歳の高齢者」だと思ったらしい。というより思ったそうだ。定年を60歳として「20年経つ」とすれば、当然80歳である。

 まさかそう読まれるとは思っていなかった。事実は「大学卒業後に就職したが、自営業に転じて20年」の意である。

 短歌作品は一旦作者の手を離れると、とんでもなくかけ離れた読みをされることがある。それだけに印象が鮮明にならねばならない、というのが教訓となった。

 この勘違い。作品の未熟さを表しているのだが、歌集に収録したのは、そのすれ違いがやけに印象深かったからである。これもまた楽しと思うのだがどうだろうか。





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