「夜の林檎」所収。
この一首を初めて読んだ人は、僕のことを「80歳の高齢者」だと思ったらしい。というより思ったそうだ。定年を60歳として「20年経つ」とすれば、当然80歳である。
まさかそう読まれるとは思っていなかった。事実は「大学卒業後に就職したが、自営業に転じて20年」の意である。
短歌作品は一旦作者の手を離れると、とんでもなくかけ離れた読みをされることがある。それだけに印象が鮮明にならねばならない、というのが教訓となった。
この勘違い。作品の未熟さを表しているのだが、歌集に収録したのは、そのすれ違いがやけに印象深かったからである。これもまた楽しと思うのだがどうだろうか。