岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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「第1回北ノ聲」第3日

2014年10月11日 23時59分59秒 | 作歌日誌
「第1回北ノ聲」10月5日(日)  忍路(オショロ)環状列石 (午前)

                   札幌、レッドベリースタジオ(午後)

 忍路環状列石は、小樽と余市の間にある縄文時代の遺跡だ。100坪ほどの土地の中央に立てられた石があり、それを取り囲むように石が配置されている。イギリスのストーンサークルと比定されるが、縄文人の墓、または宗教儀礼の施設と言われる。

 ここでは、詩人10人と、当日車の運転を引き受けてくれた、写真家の中島博美、白鳥番屋に宿泊して、行動を共にした、聴衆2人の、合わせて13人が、吉田一穂の「白鳥」をリレー音読した。一度リハーサルしたのち、大島龍の発案で、環状列石を周囲を渦を巻くように、歩きながら聲に出した。これは上手く行った。参加者の心が高揚するのが、ハッキリわかった。

 大島龍が「皆さん読みたい作品はありませんか。」と言うので、前の晩、白鳥番屋の前の夜の海を散策しながら読んだ短歌1首を読んだが、それでも心が静まらず、吉田一穂の詩から「ああ、麗しき距離(ディスタンス)」と詩の断片を聲に出して、皆に笑われた。(と思う。)それほど気持ちが高揚した。

 われわれの聲は、縄文人の魂に届いたろうか。



 レッドベリースタジオは、開設されてから20年経っていない、都会風のスタジオだった。音楽ライブや、演奏会、個展などが開かれている。参加詩人は天童大人、原田道子、岩田亨、福田知子、田中健太郎、大島龍、渡辺宗子、長屋のり子、森れい、木田澄子、石井真弓の11人だった。


 ここでは時間をオーバーしないように、時計を見ながら作品を読んだ。『短歌』に発表した「薔薇の白きは7首」と『運河』誌上に発表した作品やく70首を読んだ。こじんまりまとまった公演だった。大島龍から「読む時は、作品の主題や背景を語りながら、読むといい。」とアドバイスされた。

 懇親会がスタジオで行われた。そこで田中がフランス語で歌を歌った。その歌いっぷりが彼の作品の特徴に投影している。「詩人の資質」を見る思いがした。作品には明確に作者の人格が現れるのだ。

 東京の「詩人の聲」の公演もそうだが、真剣に参加すると、書物からは得られないことが学べると、つくづく思った。
(この日が最終日だったが、思わぬ番外篇があった。・続く)




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