岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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堪えがたき心の空白の歌:尾崎左永子の短歌

2022年08月19日 01時30分37秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・悔しまむ罪さへなくて堪へがたきこの空白は夜半につづかむ

 「さるびあ街」所収

 強い自己凝視作品だ。「悔しまむ」「罪」「堪へへがたき」「空白」とたたみかけられて、作者の限界に近い苦しみを表現して余りある。

 「何を悔しむ」「なぜ悔しむ」「原因は何か」これらは全て捨象されている。「捨象」「自己凝視」佐藤佐太郎の技法を引き継いでいるが、佐太郎にはこのように強い表現はない。

 そこが作者の独自性だろう。

 作風は全く異なるが「私ほど佐太郎の歌論を継いでいるものはない、と思っている」と作者は言う。確か、歌集「炎環」の後記にそう書いてあった。





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