天童大人プロデュース「詩人の聲・岩田亨公演(22回目)
於)ユニカ・ギャラリー(三宿)
「(語り)今晩は。岩田亨です。今回は第四歌集に収録予定の作品を読んで行きたいと思います。聲に出しては手を入れ、手を入れては、聲に出してきました。前回とは構成を変えて呼んでみたいと思います。」
「新作12首」
・街なかの地下の茶房に坐りつつジジンジャーエールを飲み干すわれか
(「星座」に発表したもの)
「聲の力・7首」
・聲を撃つ夜の地下室の空間の響きよ無限の世界へ届け
(歌集で初めて発表する作品群)
「祈り・7首」
・しみじみとわが現在を浄化する太陽の風月よりの波
(現代詩の象徴技法を用いて、肉親の虚構を詠んだもの)
「島の娘・8首」
・島の子はとつとつと言うその島は打ち寄せる波に日々削られると
(「星座」に発表した短歌8首を改作して、8連の現代詩形式にした)
「マタギの爺・8首」
・囲炉裏火の燠に光れる小屋のなかマタギの爺が静かに話す
(「星座」に発表したものを物語詩風にアレンジしたもの)
「イスラミック・ステートによる邦人人質殺害事件の追悼集会を受けて」
・人質の殺されしこと聞きてのち心凍れりわが生日は
(「星座α」に発表したもの。社会詠の実験作。)
「議事堂周辺・7首」
・理不尽なこと多くある世にありてたった一度の意思表示せん
(「うた新聞」に寄稿したものに、議員会館前の作品を加えたもの。)
「火祭り」「靴紐」14首
・権力の前にわれらは非力なれど無力にあらずと書名に応ず
(「短歌」で入選した社会詠)
「われの肖像・10首」
・カフェラテの泡の消えゆくさまを見るわが煩悩もかくのごときか
(「運河」に発表した雑誌の巻頭詠)
「断崖」「淀む空気」「雨降る予感」「感覚」「乾いた風」50首
・立ち枯れのメタセコイアの幾本が激しく揺れる風の吹く街
(「短歌」。角川短歌賞の予備選考を通過した50首詠)
「高山の跡」「空青し」「論敵」30首
(「運河賞」次席作品、辞退)
「神ならぬ者・7首」
・命ある者の選択できぬとぞ思わざりしや神ならぬノア
(「短歌」に寄稿した作品)
あとは「星座」「星座α」「運河」に発表した作品に手を入れたものを読んだ。合計で約400首。これらが第四歌集の収録作品となろう。
次回は8月5日。同じユニカ・ギャラリーで。第一歌集「夜の林檎」の作品も読んで初心を確認したい。
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