米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパンは15日、ビール業界3位のサッポロビールを傘下に持つサッポロホールディングス(HD) の取締役会に対し、株式の公開買い付け(TOB)で同HD株の66.6%(議決権ベース)の取得を目指す買収計画を提案した。買収防衛策を導入済みの同 HDは第三者委員会の助言を受け、最低2~3カ月かけて取締役会の対応を決める方針だが、受け入れは困難とみられる。提案が他のビール大手の対抗TOBを 誘い、業界再編につながる可能性もある。
スティールは今年1月1日現在で、すでにサッポロHD株の18.64%(共同保有含む)を保有する筆頭株主。提案によると、買い増し理由は「将来 性のある企業に対する信頼の継続の証し」としているだけで、経営権取得が目的かどうかは明らかにしていない。取締役会の賛同が得られない場合、提案の撤回 もあり得るとしている。
買い付け価格は1株825円程度で、過去3カ月間の終値平均に19.21%上乗せした。15日の終値は791円。サッポロHDの取締役会が賛同すれば、買い付け価格確定のための資産査定に入ることも提案している。
サッポロHDは06年2月に取締役会の決議で買収防衛策を導入。20%以上の株式取得を目指す買収者が、事前の情報提供などのルールを守らなかった場合や企業価値を著しく損なう場合には、買収者以外に新株予約権を割り当てるなどの対抗策に出る。
スティールの日本代表はこの防衛策を「株主総会の決議を経ていない」と批判。今年1月30日には廃止を求め、サッポロ側と複数回にわたって交渉を続けていた。
サッポロへのTOB提案、M&A関連株の存在感が拡大へ(ロイター) - goo ニュース[東京 15日 ロイター] 株式市場で、M&A関連株の存在感が増す機運が高まっている。米投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドは15日、サッポロホールディングス<2501.T>の経営陣に対し、66.6%の株式取得に向けて協議するよう要請したことが大きな刺激になりそうだという。
これまで、王子製紙<3861.T>の北越製紙< 3865.T>に対するTOB(株式公開買付)など、ファンドが主役になるケースでは中堅企業に対するM&Aが多かった。だが今回はサッポロHDと いう業界大手の企業が対象。三角合併解禁を前にM&A関連に対する注目度は引き続き高く、今年の株式市場における一大テーマであることを確認することにな りそうだ。
スティール側の動きについて市場では「スティール・パートナーズは、M&Aファンドとは異なり、サヤ抜けを狙った業者とのイメージが強い。今回も業界再 編の動きがあることを察知。同業かビール業界以外の食品会社、異業種かわからないが、最終的に買収を狙っている企業に保有株肩代わりを考えているのではな いか」(みずほインベスターズ証券・調査部部長の一尾仁司氏)との見方が出ている。明星食品<2900.T>と日清食品< 2897.T>の時のような決着を見込んでいるという。
あす16日以降、フクダ電子<6960.Q>、日阪製作所<6247.T>、ノーリツ<5943.T>などス ティール・パートナーズが大株主となっている企業の株価動向に注目が集まりそうだが、一尾氏は「市場で大物とみられる買収の動きが増えるにつれ、マーケッ ト参加者はM&A関連が全業種、市場全体のものとしてみるようになる」と語る。
こうした動きは、株価全体に対しプラスの材料になるという。企業の業績見通しが慎重なために、PER面では株価が上値を追いにくくなっており、株価をより一段と押し上げるためには、何らかのプレミアムが欲しいとみる関係者が少なくない。
こうした点から「M&Aが市場全体のテーマとして注目されれば、業績の伸びが疑問視されたとしても、収益以外にM&Aの思惑から会社価値が見直され、上 値を買う根拠になる。M&Aの動きが活発化すれば、株価の上昇余地が広がりそうだ」(欧州系証券トレーダー)と期待する声が出ている。
アサヒ、サッポロに統合提案…米系FとTOB戦も(読売新聞) - goo ニュース
ビール類出荷量首位のアサヒビールが、同3位のサッポロビールの持ち株会社、サッポロホールディングスに対し、経営統合を提案していることが、15日明らかになった。米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドも同日、TOB(株式公開買い付け)によるサッポロの買収を提案した。
サッポロは買収防衛策を導入済みで、スティールの買収提案を受け入れない公算が大きい。スティールの提案に対抗して、アサヒもTOBに踏み切る可能性がある。
複数の関係者によると、アサヒは昨年末、取引銀行を通じてサッポロに対し、非公式に経営統合を提案した。商品の共同配送や清涼飲料などで まず提携し、その後統合に進む案などが示された模様だ。サッポロと組むことで規模の拡大と品ぞろえの強化を図り、市場占有率でほぼ肩を並べるキリンビール を突き放す狙いとみられる。