中国書記官スパイ活動か、身分偽り口座開設
在日中国大使館の1等書記官(45)が、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設し、ウィーン条約で禁じられた商業活動をしていた疑いが強まり、警視庁公安部が外務省を通じて中国大使館に書記官の出頭を要請していたことが政府関係者への取材でわかった。
書記官は一時帰国した。中国人民解放軍の情報機関「総参謀部」出身で、公安部は、日本国内で諜報(ちょうほう)活動をしていたとみており、書記官が接触していた関係者などから一斉に事情を聞き、実態解明を進める。
開設された口座には日本企業から顧問料などが振り込まれ、工作資金に充てられた疑いもあり、公安部は外国人登録法違反(虚偽申告)での立件に向け捜査している。中国の外交官が日本の国内法規に抵触して立件対象になるのは初めて。
中国書記官、日本国内でスパイ活動か 身分隠し口座開設 警視庁の出頭要請拒否し帰国
2012.5.29 10:14
在日中国大使館の1等書記官(45)が、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設するなどし、ウィーン条約で禁じられた商業活動をした疑い が強まり、警視庁公安部が外務省を通じて今月中旬、中国大使館に書記官の出頭を要請していたことが捜査関係者への取材でわかった。中国大使館は拒否し、書 記官は一時帰国した。
条約では罰則は科せないが、公安部は、国内法の公正証書原本不実記載や外国人登録法違反(虚偽申告)容疑などで書類 送検を視野に捜査しているもようだ。書記官は中国人民解放軍総参謀部の情報部門「第2部」出身とみられ、外交官となる前から何度も入国して政財界要人とも 交流していたことなどから、公安部は、日本国内で諜報活動をしていたとみている。
捜査関係者によると、書記官は平成20年初め、外交官と して赴任する前に取得した外国人登録証を使い、外交官の身分を隠して銀行口座を開設。同年4月には東大研究員などと偽り、虚偽の住所などを記した申請書を 東京都の葛飾区役所に提出、外国人登録証を更新した疑いが持たれている。
口座には、都内の健康食品販売会社から「顧問料」として、毎月10万円前後程度が振り込まれていたという。この会社は当時、中国への進出を目指しており、書記官は、香港に設立された関連会社の役員として、報酬を受け取ったとみられる形跡があるという。
ウィーン条約では、外交官が赴任先で個人的な利益を目的にした職業活動や商業活動を禁じており、事実ならば、日本側は中国側に通告し、帰国させることがで きる。公安部は顧問料などの収入が工作活動に使われた可能性もあるとみている。また、外国人登録法など日本の国内法に違反する疑いもあるため、引き続き外 務省を通じ、出頭要請手続きを進めるとみられる。
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■外交関係に関するウィーン条約 外交使節団の特権や免除な どについて定めた条約。外交官は円滑な任務の遂行を確保するため、派遣国の刑法に違反したとしても逮捕されることはない。代わりに受け入れ国は、「好まし くない人物」(ペルソナ・ノン・グラータ)として、本国へ帰国させることができる。1961(昭和36)年に採択され、日本は3年後に批准。中国は 1975年に加盟している。
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