Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

花弁・雪花(Hanabira yukibana)

2021-01-12 20:18:35 | 水中生物

寒~い日が続いています。そして雨交じりの日も…。

ときどき日差しも浴びられたりするのですが、風は冷た~い日々でした。

まあ、明日からは晴れアイコンの日が続く予報で、気温も暖かい日が続きそうなやんばるです。

風は強めの北~北西。雨のち曇、のち晴れ間。

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『シニフィアン』と『シニフィエ』

という言葉をつい最近知りました。これらはフランス語で『意味するもの』と『意味されるもの』、あるいは『表すもの』と『表されるもの』という意味の言語学用語なのだとか。

例えば『海』という言葉。『海』という文字や『うみ』という音はシニフィアン。『海』という文字を見たり『うみ』という音を聞いたりして浮かぶイメージや想起される概念がシニフィエ。というような感じみたい。

日本語では『記号表現』と『記号内容』などと訳されるのだとか。

これを知ったとき、どこか生物の命名に繋がる印象を受けました。

例えば前回のバサラカクレエビ。あの和名は、和名の提唱者がエビの模様から婆娑羅をイメージしたわけですよね。婆娑羅というシニフィアンからイメージされるシニフィエとそのエビの模様が近しいと感じたからバサラカクレエビと名付けたのでしょう。

バサラは日常的に使う言葉ではないのでピンとこないかもしれませんが、これが日常的に誰もが口にする言葉なら、その生物を見たことがなくてもある程度その姿をイメージできるのでは、とか思ったりしたのです。

学名や和名において、シニフィアンとシニフィエの関係性が強ければ強いほど、魚の名前も憶えやすくなるのでは…、とか思ったりも。

とか言いながら、献名の学名や和名も嫌いなわけではないのですが。調べるとストーリーがあったりしますから…。

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この学名なら日常的な言葉のイメージそのままではないでしょうか…

〈ウミヅタ科Hnabira属 Hanabira yukibana 20年11月27日 沖縄島安和〉

和名のない本種は学名をそのまま素直に読むと『ハナビラ ユキバナ』ですね。

これは日本語の『花びら』と『雪花』が語源なのだそう。

属名の方はポリプの触手の形が花びらに似ているから、種小名はポリプの光沢が雪の結晶に似ていることからなのだとか。

つまり日本語をそのままラテン語化した学名というわけです。

Nipponia nippon すなわちトキみたいな感じですね。いやもっと日本語してますか。

そして花びら型の雪の結晶のイメージがすぐに浮かんできて、しかもそのイメージはまあ間違ってないですよね。

何より綺麗な学名ですし…。

これ、和名もこのままで良いんじゃないかと思えたりも。

もっとも、雪の結晶は別名六花と呼ばれるように、六角形の花冠型ですが、本種は八放サンゴの仲間ですので八つの花びらの花冠です。

その部分だけイメージの修正が必要かもしれません…。

 

 

コメント
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