私のアンネ・フランク (偕成社の創作文学 29)松谷 みよ子偕成社このアイテムの詳細を見る |
1979年
直樹とゆう子の物語・3作目
直樹大学2年生・ゆう子中学2年生
母・蕗子 もうすぐ50歳(作者と同年代)
ゆう子の13歳の誕生日に、同じ13歳の誕生日から日記を書き始めたという、アンネの日記を母がプレゼントする。そこから物語がスタート。
娘の視点、母の視点が半々くらい、ちょこっと息子の視点もあり、のお話。
なんだけど、この作品においては、母・蕗子の物語が、作者の思いと重なっているんだね。
アンネと同い年だということに気づいた蕗子は、偶然の導きによって、アウシュビッツに行くことになった。
アウシュビッツ博物館の内部は、前に読んだ本で知ってた。けど、それを見た人の感情が…せまってきた…。
青森県の民話、「鬼の目玉」というお話に、端を発する。
これが、アウシュビッツとどう結びつくのか、っていうのが作家ならではの視点だね。
作者がたどった、民話の旅も、気になってきた。今度読んでみよう。大学のときに勉強したことが、今ならもっと深く理解できるような気がする。
私も、いつか訪れたい。アンネの家とアウシュビッツ。
そして、私なりの「私のアンネ=フランク」を書きたい。
と、ここまで考えて、ふと、思い至った。
何もそんな遠いヨーロッパまで行かなくても、ここ日本にも、隠れ家はあっただろうし、アウシュビッツもあったのだ。
それを残さないで、隠してしまった、そして忘れてしまった日本人…
そして、同じことを繰り返そうとしている日本という国…
この作品が書かれた当時からささやかれてきたことが、もうちょっとで現実のものになろうとしている。
みんなが気づかないうちに、事態は進行している。
早く、気づいて!
これを、子供たちに読ませる前に、事態は悪くなっているような気がする。