*ウサギのお部屋*

日記・レビューなどなど。
最新日記は数日後に非公開にします。

松谷みよ子「私のアンネ=フランク」

2007年07月10日 | 
私のアンネ・フランク (偕成社の創作文学 29)
松谷 みよ子
偕成社

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1979年

直樹とゆう子の物語・3作目

直樹大学2年生・ゆう子中学2年生

母・蕗子 もうすぐ50歳(作者と同年代)



ゆう子の13歳の誕生日に、同じ13歳の誕生日から日記を書き始めたという、アンネの日記を母がプレゼントする。そこから物語がスタート。

娘の視点、母の視点が半々くらい、ちょこっと息子の視点もあり、のお話。

なんだけど、この作品においては、母・蕗子の物語が、作者の思いと重なっているんだね。

アンネと同い年だということに気づいた蕗子は、偶然の導きによって、アウシュビッツに行くことになった。

アウシュビッツ博物館の内部は、前に読んだ本で知ってた。けど、それを見た人の感情が…せまってきた…。



青森県の民話、「鬼の目玉」というお話に、端を発する。

これが、アウシュビッツとどう結びつくのか、っていうのが作家ならではの視点だね。

作者がたどった、民話の旅も、気になってきた。今度読んでみよう。大学のときに勉強したことが、今ならもっと深く理解できるような気がする。



私も、いつか訪れたい。アンネの家とアウシュビッツ。

そして、私なりの「私のアンネ=フランク」を書きたい。

と、ここまで考えて、ふと、思い至った。

何もそんな遠いヨーロッパまで行かなくても、ここ日本にも、隠れ家はあっただろうし、アウシュビッツもあったのだ。

それを残さないで、隠してしまった、そして忘れてしまった日本人…

そして、同じことを繰り返そうとしている日本という国…



この作品が書かれた当時からささやかれてきたことが、もうちょっとで現実のものになろうとしている。

みんなが気づかないうちに、事態は進行している。

早く、気づいて!

これを、子供たちに読ませる前に、事態は悪くなっているような気がする。

松谷みよ子「死の国からのバトン」

2007年07月10日 | 
死の国からのバトン―直樹とゆう子の物語 (少年少女創作文学)
松谷 みよ子
偕成社

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1976年

直樹とゆう子の物語・2作目。

直樹6年生・ゆう子5歳



作者の、民話収集から始まったというこの物語は、先祖と不思議な世界で出会う、という形を通して、現代の日本に起こる問題を告発するものである。



なーんて、解説風に書いてみたけど(笑)

最初はね、難しくて、ちゃんと読めなくて、困った。

小学上級以上、って書いてあるから、5年生でも読める文章なのにね。でも、きっと、子供たちにも難しいかもしれない。

ご先祖、なんて、遠い話だもの。タイトルも、なんか、怖いし。



でも、本当は、生きるということは、バトンを受け継ぐことなんだ、というようなことなんだよね。



大多数の民は飢えて死んでいった、ご先祖の時代と、まがいものだらけの(食べ物で言えば、添加物・農薬だらけの)今の時代とどっちが幸せなんだろうね?

っていう問いを投げかけてくれる。

水俣病みたいな公害病を例にあげて。



これも、やっぱり、難しいけど、子供たちに伝えたい問題である。