*ウサギのお部屋*

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松谷みよ子「あの世からの火」

2007年07月12日 | 
あの世からの火 (偕成社の創作―直樹とゆう子の物語)
松谷 みよ子,司 修
偕成社

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1993年

直樹とゆう子の物語・第5作

今のところ、これが最終作。一気に全部読んでしまったよ!



今回は「屋根裏部屋の秘密」で出てきた、山荘の管理人のみすずさんの体験記が大部分を占める。

敗戦後、1人で3人の子供を抱えて、朝鮮から引き上げてくるときのお話。

生きるか死ぬか、というときに、ご先祖の火の玉に助けられた、という話から、タイトルがつけられた。

もちろんそれだけでなく、今の日本がひた隠しにしている、朝鮮を侵略したという事実をきちんと描き、日本が見ないようにしている、在日の問題にも少し触れ、朝鮮という国がクローズアップされている。

思えば悲しい国…

ずっと日本に侵略されてて、やっと解放されたと思ったら、今度は南北に分断されて、北に残してきた家族にも会えないという。



今ならなんて言うかな?

侵略戦争の時代を、「美しい国・日本」として美化して、その時代に逆戻りしたがってる首相になんて言うのかな?

本当、こういうの、読んで欲しいわ。

児童文学には、政治家のおじさんたちに読んで欲しいものがいっぱいあるわ。



若い世代、中学生のゆう子にしてみたら、母も兄も、なんでそんな怖いことばっかりに首を突っ込むんだろう、楽しいことばっかり見ていたいのに。って正直な気持ちも描かれていて、さすが、児童文学の巨匠だけあるよね。



そういえば、うちの父も引揚者だった。祖母が1人で、終戦時1歳半の父を連れて帰ったんだよね。こんなに大変だったのかな、すごいことなんだな。

そういえば、私の大好きな韓国ドラマだって、南北に分断されなかったら、あの切なさは生まれなかったと思うし…

朝鮮じゃなくて日本を分断するという計画もあったんだってね。

とか、考えると、決して無関係の問題ではない