あの世からの火 (偕成社の創作―直樹とゆう子の物語)松谷 みよ子,司 修偕成社このアイテムの詳細を見る |
1993年
直樹とゆう子の物語・第5作
今のところ、これが最終作。一気に全部読んでしまったよ!
今回は「屋根裏部屋の秘密」で出てきた、山荘の管理人のみすずさんの体験記が大部分を占める。
敗戦後、1人で3人の子供を抱えて、朝鮮から引き上げてくるときのお話。
生きるか死ぬか、というときに、ご先祖の火の玉に助けられた、という話から、タイトルがつけられた。
もちろんそれだけでなく、今の日本がひた隠しにしている、朝鮮を侵略したという事実をきちんと描き、日本が見ないようにしている、在日の問題にも少し触れ、朝鮮という国がクローズアップされている。
思えば悲しい国…
ずっと日本に侵略されてて、やっと解放されたと思ったら、今度は南北に分断されて、北に残してきた家族にも会えないという。
今ならなんて言うかな?
侵略戦争の時代を、「美しい国・日本」として美化して、その時代に逆戻りしたがってる首相になんて言うのかな?
本当、こういうの、読んで欲しいわ。
児童文学には、政治家のおじさんたちに読んで欲しいものがいっぱいあるわ。
若い世代、中学生のゆう子にしてみたら、母も兄も、なんでそんな怖いことばっかりに首を突っ込むんだろう、楽しいことばっかり見ていたいのに。って正直な気持ちも描かれていて、さすが、児童文学の巨匠だけあるよね。
そういえば、うちの父も引揚者だった。祖母が1人で、終戦時1歳半の父を連れて帰ったんだよね。こんなに大変だったのかな、すごいことなんだな。
そういえば、私の大好きな韓国ドラマだって、南北に分断されなかったら、あの切なさは生まれなかったと思うし…
朝鮮じゃなくて日本を分断するという計画もあったんだってね。
とか、考えると、決して無関係の問題ではない