*ウサギのお部屋*

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國部克彦「ワクチンの境界 権力と倫理の力学」(2022)

2024年01月08日 | 
 
いわゆる反ワクな本かなって思って、それを今読む意味あんのかと思ったけど全然違った。
これはすごい本でした。

ここ数年の感染症対策、これを教材に、全体主義に向かっていく危うさについて説いてくれる。

言葉で何かを考えたり伝えたりするということは、あなたの個人の問題ではなく、人類共通のものになる。言葉は人類に共通のものだからである。

誰かの言うことを信じるということは、人類全体に波及するかもしれない。
たとえ、その人の言うことが正しかったとしても、何も考えずに信じるのは危険。なぜなら、いつもそれが正しいとは限らないのだから、いつか間違いを犯してしまうかもしれない。そうすると、将来にわたって罪を犯すことになるのだ。みたいな。
これは面白くなりそう。

著者は経営倫理という専門の方。
国内外のいろいろな思想家の考え方を引っ張ってきて、冷静にフラットに考察していく。
ここでは、ワクチンがいいか悪いかの議論はしない。政府の対策が正しいか否かの議論はしない。
ただ、相反する2つの考え方がある場合に、本来であれば十分に議論を尽くすべきなのに、片方の考え方ばかりを推し進めてきた。反対の声や、疑問、不安の声までも、デマ、陰謀論と言って封じ込めてきた。このやり方はすごく危険であるということ。

何かを信じるということは、思ってる以上に重大なこと。信じる前に調べる義務があると。何も考えずに信じるのは罪。
信じてその道に進んだとしても、常にそれが正しいのかどうか検証しなくてはならない。
それを全て省略してしまっているから、全体主義に傾いてしまう。

うん、ずっと我々が思ってたことを、いや、それ以上のことをきちんと書いてくださっている。
今まで分かってなかった人も、普通に読めば分かってもらえると思う。

科学的に説明できないからリスクはないのだというのも危うい言い方。リスクはないということを科学的に説明しなくてはならないのに。

あとは、健康至上主義みたいな今の風潮も危険。
健康のためなら死んでもいいみたいな(笑)そこまではいかないけど、感染症にかからないことが一番みたいになってしまっている。
それを突きつめたら、生きていればいいみたいな、野生動物みたくなってしまう。野生動物はワクチン打たないけどね。

全部は紹介し切れないのでおわり。

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