*ウサギのお部屋*

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モンゴメリ「銀の森のパット」(1933)「パットの夢」(1935)

2024年08月14日 | 
 
「Pat of Silver Bush」
「Mistress Pat A Novel of Silver Bush」

これも新訳になってからは初めて読むので、ゆっくりじっくり読みたかった。そしたら、なかなか進まなくて(笑)
パット(7歳)が、自分の家をどれほど愛しているかということや、変化を嫌うことや、妹が生まれるときにばあやがパセリ畑から赤ちゃんを探す話(キャベツ畑じゃないんだ?)ぐらいで1週間ぐらい過ごしてしまう(笑)
パセリ畑って! あとは、コウノトリとか、お医者さんのカバン。

シルバーブッシュは、白樺の木々のことみたいですね。白樺が銀の森ってすてき。
アン、エミリーに次ぐヒロインのパット(パトリシア)は、自然、木が好き、家が好き、変化を嫌うところが、著者の気質を表しているのかなって感じです。本人もそう言っている。
やっぱり、自然の描写がいちいちすばらしくて。この世界の、この星の美しさを伝えてくれる。最近ね、この世界は地球はくだらないとか何とかいう意見を聞いたので、そうでもないよねって戻してくれた。
木々の生長と、心の傷の癒えることを同列にするのが著者ならではだなと思った。すごい。時間の経過とともにあるもの。
どこかに書いたけど、自然と心を結びつけるのは、アジア的らしく、あまり欧米の人でそれをやる人は少ないみたいで。そこもすごいなって思う。

パットは、アンやエミリーみたいにみなしごじゃなく、普通の家の、両親も兄弟もいる子ってところが違うなあ。そこが新鮮なところ。
でも、幼馴染の男の子にその境遇を持ってきてるので、やっぱりそれはある。

ばあやのジュディの田舎なまりの喋り方の訳し方がとても気になった。「っちゃ」を使うんだけど、仙台弁「だっちゃ」と違う活用で、ちょっと、変な感じがしました。「ちゃ」に手を出すと奥が深いですよ(笑)
でも、この人の話す話が面白過ぎて、物語のもう一つの軸になっている。幅を広げてくれる。この辺も、ストーリーテラーの著者の本領って感じです。

主人公が変化が嫌いという設定も、人生は変化の連続だから、それはつらいことなんだろう。
形あるものは全て変わっていく。これも、この世界ならではでいい。

言葉にならない悲劇。
恋に落ちることと愛することの違い。
ちょうど出合った言葉が自分に降りかかってくる。
などなど、なるほどなことがたくさんありました。

1作目は6、7歳から18歳まで。
2作目は20歳から30歳過ぎぐらいまで。
1作目は2回目、2作目は村岡訳で3回以上は読んでるはず。持ってるから。でもあまり覚えてなくて新鮮に読めた。

結婚相手と巡り会うところの話は、エミリーをなぞってるみたいな感じだった。それでも細かいところが違うのだけどね。
最後は、何回も読んだはずなのに全く覚えてなくて、ああー、そういうことかーってなった。そこもすごいなと思う。
最後はいつもそうあるべきのハッピーエンド。これも著者ならではですごく好き。安心して物語に身を委ねて連れてってもらえる信頼感がある。

ちなみに、「銀の森屋敷」はモデルがあって、従妹の家で、著者が結婚式を挙げた家。今も記念館として残っている。いつか訪れたいです。


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