観測にまつわる問題

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年収の壁問題の本質、その他経済雑感(2024/11/2)

2024-11-02 15:40:13 | 経済財政
国民民主党の政策めぐる報道 玉木雄一郎代表が財務省の「暗躍」を指摘(ライブドアニュース 2024年11月2日)

>マスコミも撤廃が実現した場合、『7.6兆円の税収減』とか『高所得者ほど恩恵が大きい』と報じるようになった

・・・働き手を増やし少子高齢化でも日本を成長させるのは良い政策だと思いますが、配偶者控除を撤廃して「高所得者の中での話」にするのも一案です。

ただし本質的に年収の壁問題は、配偶者控除・扶養控除(特に親族から仕送りを貰っている人)の問題だと考えます。ある程度収入がある世帯の配偶者・被扶養者にとって働く時間が増えると世帯収入が減る/増えない壁があるんでしょう。そもそも低所得者が働いて収入が減る壁がある訳ではないのでは?

勿論、高所得者であっても、デフレ脱却を目指す大事な時期に増税は避けるべきです。しかし減税とセットでなら、増税もありだと考えます。意味が無いようですが、減税(配偶者控除・扶養控除)の条件が働く意欲を奪っているケースもあるはずです。何にせよ働き手が増えれば、消費/税増が考えられます。

石破首相 新たな経済対策 賃上げや投資促進など盛り込む考え(NHK 2024年11月1日)

>経団連の十倉会長らは、日本の生産年齢人口は2040年までにおよそ2割減少し、特に地方での人口減少が著しいとして、人手不足解消に向けた成長分野への人の移動や、賃金の上昇が必要だと指摘しました

・・・成長分野/企業への人の移動って、結局中途採用が活性化するかだと思います。

勿論、解雇規制を緩和してクビになった人が成長分野/成長企業に移れる訳ではなく(単にコストカット型の経営を助長するだけで)、優秀な人がヘッドハンティングされることで賃金が上昇する訳です。それを妨げているのが終身雇用を促進している退職金税制です(終身雇用は寧ろ企業有利)。

人手不足は基本的には儲かっている成長分野/企業で起こっている訳ではありません。儲かってない業界・企業で起こっている訳です。人手があれば売り上げを上げられるのに上げられない機会ロスを避けるには、求職者を増やすのが手っ取り早いです。配偶者・扶養者が働けば、自治体間での住民の奪い合いにもなりません。

リスキリングも配偶者・扶養者がフルタイムで働く気になれば、志望者が増え、成長分野/企業に無理なくスキルのある人材を送ることが出来るんじゃないかと思います。いずれにせよ国が広く助成をすれば、時間があって収入を増やしたい有志が手を挙げるでしょう。これは学校のある(大)都市政策ですが。無論地方のことを考えると、オンラインリスキリングも検討するべきではあります。

資格があるのに働いてない看護師(介護士も?)なんかも配偶者控除の問題が関係あるように思います。結婚で引退した人が働いてくれれば、人手不足の問題も緩和に向かい、経済の規模が大きくなるのでは?

「家事手伝い」や親の仕送り・扶養で働いてない若者を強制的に働かせることは出来ませんが、働いても世帯収入が減る/増えない壁を撤廃することで、若い(それなりに優秀な/能力不足で失業している訳ではない)労働力が出てくるんだろうと思います。それでも不足なら高齢の被扶養者もあります。

>経済対策に、地方創生に向けた施策や賃上げ環境の整備、それに成長分野への国内投資の促進などを盛り込む考え

・・・日本の経常収支は黒字です。つまり放置していると円高になります。円高になっても輸入企業は労働分配率を上げないし、必ずしも消費者に還元しないでしょう。

これが民主党超円高不況の(理論通りに経済が動かない)理由ですが、勿論実質賃金を下げる歴史的円安/資本逃避を奨励する訳ではありません。通貨の安定が重要ですが、日本が黒字円高体質なら、金利を上げずまず国内の貸し出しを増やすべきだと強く主張します。海外資金の還流で円高ブーストは不味い。

国内の貸し出しを増やす方策はあります。住宅ローン・教育ローンの促進です。そもそも借金できる人は稼ぐ力のある人ですが、住宅ローン・教育ローンは金利を払ってお釣りが来るんですね。勿論人手不足が解消して経済のパイが大きくなれば、事業拡大で貸し出し拡大も十分考えられます。

>経済対策では当面の対応として足元で物価高に苦しむ方々をきめ細かく支援していく

・・・お言葉ですが、現在日本の物価は正常です。総理が今が物価高という認識では、日銀が景気を冷やしにかかってしまいます。痛み止めというか、退院後の栄養は必要かもしれませんが。

>地方創生に向けた施策

・・・地方は仕事不足ではなく人手不足です。蒔いた種を収穫(待遇改善)することが大切であって、ドンドンばら撒くのは厳禁です。人手不足を解消して地方経済のパイが大きくなれば、一極集中は緩和の方向に向かいます。国は総理のおもちゃではない。

日経平均の下げ幅が一時1100円超で大幅下落…植田総裁発言で円高・株安も 外国為替市場一時1ドル=151円台(FNNプライムオンライン yahooニュース11/1(金))

利上げがしたい植田日銀のせいで、円高株安。日本は経常黒字で円高体質だということを忘れているらしい。円安は介入したらストップできます。しかし円高は介入すると怒られます。日銀は物価のことばかり考えていて、為替のことを分かってないかと思わせます。

物価に関しても、円高で輸入企業が賃上げするのか消費者に還元するのか考えてみればいいと思います。どうせ便乗ステルス値上げでお金を貯めて、無借金経営を志向したり、円高をバネに海外投資するんじゃないですか?仮に物価が下がるなら、それはデフレ(不況)ということなんです。

通貨高が国益と考えている日本経済の歴史を認識してない教科書の勉強だけ出来る「理論デッカチ」の人がいるようです。またインフレで苦しんでいるアメリカばかり見てそのまま日本に当て嵌める出羽守がいるようです。日本は独り少子高齢化でデフレ傾向に苦しんでいます。独自の処方箋が必要です。

物価が上がってきたら、補正予算を縮小すればいいだけです。日本は予算で経済を膨らませていて、物価は下げたいだけ下げられます。ですが物価はゼロにしてはならないんです。勿論予算を決めるのは日銀ではありません。日銀の景気を冷やす「暴走」を止めるのはバラ撒き型政治家の自制に他なりません。

“フリーランスが安心して働ける環境を” 新たな法律施行(NHK 2024年11月1日)

大企業が丸儲けした所で、労働分配率は低いです。フリーランス新法で労働者の権利が守られ、労働分配率が上がれば、日本経済(特に東京)の経済は活性化するでしょう。出版社・マスコミは東京に集中し、その道の第一人者でもフリーライターは儲かってないようです。

「年収103万円の壁」がわかる 働き控え、助成金で解決せず(日経 2023年7月10日)

これは本質的に配偶者控除・扶養控除の問題です。基本的には(世帯分離しても親を扶養することは可能ですが)単身世帯が働いて収入が減る壁がある訳ではありません。増税は避けるべきですが、壁の撤廃は減税の撤廃を意味します。国民民主党案は国民受けの良い減税案で、壁の撤廃効果は薄い。

日本の野党にありがちな誤解ですが、減税で増収は基本的には有り得ません。ただ日本経済を活性化するためには、年収の壁を壊して人手不足を解消する必要があります。勿論増税は景気を冷やします。別の減税(基礎控除の拡大)とセットで年収の壁(控除/減税)の撤廃は有り得る考え方です。

社会保険料の壁を計算に入れると話が複雑化しますが、まず所得と比較して額は小さいです。そして厚生年金は会社負担があり、老後に比較的大きな年金を受け取れる権利が発生します。国民年金で暮らすのは苦しく、賃貸暮らしでは生活保護に転落するのは必至です。働けるなら厚生年金が正解です。

社負担ですが、中小企業も最近は内部留保を貯めていると言われます。厚生年金を払わないために労働者の労働時間を抑える企業は考え難く、厚生年金にしないのは労働者の意志でしょうが、壁があるなら増税になりますが撤廃した方が分かり易いです。また労働時間の不計上はサービス残業と生産性の問題であって、ここではひとまず置きます。年金で老後に生活していけるかは、家の購入・相続の問題も絡みますが、それはさておき、基本的には現役の時に厚生年金を支払ったかどうかです。例外は自営業者の国民年金です。少なくとも給与所得者の国民年金誘導支援は撤廃の方向性で良いと考えます。

ただし短時間労働の選択肢は考えておかなければなりません。人手不足を前提に労働者の都合としては、学生バイト・ダブルワーク・育児との両立が考えられ、学生バイトは学業が本業で国民年金で問題なく、ダブルワークは条件を満たしていたら厚生年金が義務付けられています。従って実質的な問題は育児との両立でしょう。結局短時間労働に厚生年金の権利を与えるのは人手不足を加速させるので、短時間労働/国民年金の選択肢はありだとは思います。

瀬戸内国際芸術祭に船員不足の壁 直島ライン運航断念(日経 2024年10月31日)

要は人手不足ですが、待遇改善して人手を募集できないかと思います。運賃が高くなって、利用者が減るならそれまでですし、過疎対策で自治体が補助を出す選択肢はあります。或いは船員・過疎地を若者が忌避するなら、移民も検討していいと思いますが、根本的には107日間の労働が中途半端の気もします。

例えば小型船舶操縦試験を受けてクルーザーで遊ぶ若者が増えたら、小型旅客安全講習を受けて趣味がてら香川でバイトをしようという若者も増えるかもしれませんがね。

GPIFが9兆円超の運用赤字に、内外株の不振が影響-7-9月(ブルームバーグ)

>外国株式・債券の運用収益が円高により相殺されたほか、国内株の下落が影響した

・・・円高デフレ不況は高齢者を即死させるかもしれませんね。富裕層の資金運用先が株に向かわないと危ない気もします。

X@yurumazX「9月から牛肉、砂糖、とうもろこし、小麦など食料関連のコモディティ価格は大きく上昇しています。原油は下がっているけどそれだけでインフレが収まらないでしょう。」

日本の場合は、経済を予算で膨らませており、その気になればデフレ不況を選ぶことが出来ます。輸入食糧の価格高騰に関して言えば、相対的に国産食料が優位になります(食料自給率が上がります)。わざわざ減反しなければ、大丈夫だと考えます。

北朝鮮の核開発とウクライナ情勢、西側の今後の方針

2024-11-02 15:31:42 | 外交安全保障
軍事ジャーナリストの黒井文太郎さんによれば、「北朝鮮が明言してる軍事開発計画のうち、残ってるのは「多弾頭化」と「原子力潜水艦」くらい」だそうです。

そろそろ北朝鮮の核問題に実効的な対策を考える時が来たんじゃないかと思います(中露の核は相互確証破壊で対応できるとして)。具体的には(核拡散に当たらない)核共有です。いずれにせよ、一方的な軍拡は破局に至る可能性が高く、こちらも対抗すべきかと考えます。

北朝鮮派兵 米元大使 “見返りに核・ミサイル技術提供も”(NHK 2024年11月1日)

北朝鮮の暴走が加速するとしたら、そろそろ対抗策を考えないと不味いです。北朝鮮の当面の狙いは核武装国として認められることですが、その先は何を狙っているのでしょうか?次は経済発展を目標とするとしても、我々は絶対に認めません。南北共に縦深性がないので、通常戦争の可能性も低く、共にいざ有事に死なば諸共で(持っていれば)ぶっ放す可能性も高いです。抑止が正解でしょうが、北朝鮮は抑止のハードルを上げてきています。北朝鮮は破れかぶれで南侵する可能性があります。我々は南侵の決断が北朝鮮の終わりの始まりにする必要があり、北朝鮮経済を中露が支えるのは防ぎようがありません。

X@BUNKUROI「北朝鮮ICBM。対米ミサイルとして既に射程は充分なので、大型化は多弾頭が目的なのかと思ってたのですが、普通にさらに射程を延ばしてきました。北朝鮮のこの後の発表で、何か今回の目的を示唆する言葉が出てくるか否かに注目です」

北朝鮮は本当に何か目的があるんですかね。連中が合理的なようには思い難いところがあります。つまり多弾頭化する技術が無いにも関わらず、示威行為で能力の向上をアピールしたようにも見え、(インドを認めたように)どうも我々がイモ引いて核保有国として認めると考えているんじゃないでしょうか?

核武装のその先に軍事的な目標があれば、ミサイルは温存していいと思います。それをしないということは、核武装は核保有国として認めさせるための政治的な目的であり、その先に経済発展を考えているような気もします。しかしそんな道を認めれば、核拡散は止まりません。

或いはミサイルを輸出する性能誇示の可能性も考えられますが、多弾頭化が出来ないのは寧ろマイナスです。ロシアからの提供を警戒して警戒し過ぎることはありませんが、ロシアは実質的なウクライナ全土の支配以外で取引はしないものと思われます。北朝鮮への技術提供がウクライナで取引材料の可能性も。

北朝鮮への技術提供がアメリカとの取引に使われているとしたらですが、アメリカ製兵器によるロシアの軍事基地への攻撃は政権が代っても代わらなくても認められない可能性があります。これは西側には残念な話ですが、アジアで北朝鮮の暴走を遅らせるためには必要な措置とも言えます。

米政府「ウクライナ国境に既に約8,000人の北朝鮮兵が到着。数日中に戦闘に出ると予想される」| APニュース(November 1, 2024)

ロシア有利の戦局なら、プ大統領的にも「消耗品」として役に立つといったところか。国土を侵された訳でもない北朝鮮のメリットが不明。ウクライナ侵略が終わった頃に「自力開発」に成功する可能性も考えられます。最悪の展開を前提に対応策を。