MSN産経ニュース(小沢氏、「野党が主導権を持つ国会に」 京大で講義)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091225/stt0912251916004-n1.htm
>国会の現状について「野党が与党と対等に議論ができない仕組みとなっている」と指摘。「われわれが与党である間に国会の機能を強化し、野党が主導権を持つような仕組みに変えたい」と述べ、国会改革に取り組む意向を重ねて示した。
対等な議論を出来るシステムを作りたいということが目的であれば、大統領制の方がよほど素直だと思えます。大統領選を通じてシステムとして比較的公正な競争が担保されているのは明らかでしょう。権力を持っていることで生じる優位性に関しては、勝った以上むしろ当然(そこを引っくり返すのが野党の仕事)と言えますし、現実の大統領制の国で競争が不公平だとは聞きませんから、この際あまり考えなくていいのだと思えます。韓国では大統領制で政権交代も何度も起きていますし、少数政党も確かに存在していますから、役割は多少変わっても少数政党の存在が消滅するという話にもなりません。
問題は日本において大統領制を採ったことがないという事実です。国政に携わる政治家の方々は反対の人が多いでしょうし、政治に関心ある層もほとんど勝手が分からないので混乱が予想される上、導入への流れが作れるかも不明です。また、公正な競争という観点以外で、議院内閣制とどちらがいいかも良く分かりません。変えてみてこんなはずではなかったということになれば目も当てられませんから、相当慎重に検討することが大切でしょう。いずれにせよ、当ブログでは大統領制も視野に入れていこうと思っています。
小沢氏の改革に関連して現行の議院内閣制下での改革に関して言えば、以前も「政治システム理論」の「政治の混迷が嫌ならば」「解散権はとりあえず今問題ない」などで指摘したように参議院改革が焦点ではないかと思います。利益相反する司令塔がふたつあっては混乱が増すだけでしかないでしょう。国会同意人事も混乱の種になっただけのように見えますが、野党を尊重することと、野党を信じて下手な権力を与え政治を混乱に陥れることは違うと思います。まずは与野党は概ね利益相反していると言っていいのだ(それは政権交代の存在がある以上、選択の余地を確保している以上、不可避なのだ)ということを認識した上で、それでもなお不利な野党を活かすため(政権交代が事実上なければ選挙の意味は低下し国民が選択したということにならない)(今度の政権交代は事実上政権交代以外の選択肢はなかったし、民主党並びに支援者は間違いなくそのように主張したので非民主的だったと断定できると一応指摘)、何が出来るのかということになるのでしょう。
ここで改めて解散権について考察してみると、解散権を野党に与えることは出来ませんし、話し合い解散をシステム化することもほぼ不可能(大矛盾でしかありません)(やれたとしても事実上の任期制にしかならないはずです)です。解散権を無くすということであれば、レームダックの問題と共に捻じれた時の弱い首相権力の問題が出てきますから、以前も指摘したように現時点では改悪にしかなりません。
今野党を有利にすれば、現政権民主党が不利になるわけですから、どの程度できるかは疑問に思わざるを得ません。現在までのところ、野党の望む党首討論も受けていませんし、今出来ることをやっていないことは明らかです。選挙前から何をやるか明らかにしないと改革は難しいと思うのですが、少なくともこの点に関しては必要と思う批判はしますがお手並みを拝見したいとも思っています。