就学前の親の不安にはそれぞれの理由がある。
「子どものために、正しい選択をしてあげたい」。
でも、どこを選んでも「この子に何が起きるのか。どうしたらこの子の安全を守ってやれるのか」という問いは続く。
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「ふつう学級を選んでも、何年か後に、支援学級に来て、みんなほっとするんですよ」。
小さいころから子どもを見守ってくれた療育の先生にそう言われて揺れない親はいない。
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だから、一人一人の子どもの声に耳を傾けるように、一人一人の親の「今ここ」の迷いに耳を傾けなければいけない。
安全が何かは一人一人違う。親が不安や痛みを隠したままでは、子どもの安全を守ることはできない。むしろ子どもが傷つくことに敏感になり、ふつう学級を回避するようにもなる。
そのときには、「みんなほっとするんですよ」という言葉が真実のように思えてくるのだろう。
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就学前の親にとって法律の正しさより、ふつう学級から分けられた子どもの痛みから、またふつう学級で守る覚悟をした親たちの感情から汲み取る何かの方が大きい。
「自分に何が起きているかを、この子が納得して生きられるように」
「この子の味方でいられるように」
「この子の身に起こることに、無力でいたくない」
「ママの子どもでよかったと、この子に言ってもらえるように」
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100回やっても、ふつう学級の就学相談会は失敗だらけだな。