「ついていけるか?」という不安を抱える母親に、5歳の子が尋ねる。
「ママはついていけたの?」
「そうね」母親がうなずく。
「ぼくはついていけない?」
「そうかもしれない、でも、わからないわ…」
すると彼がいう。
「ママもついていけなかったらよかったのに」。
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就学相談会まであと3日。
「ついていけるか?」という言葉につまづいている。
何十年も同じように聞かれ、答えてきた自分にも違和感がたまっている。
「ついていけるか?」という問いの向こう側には、「ついてこれるか?」と問う教育がある。
『ぼくもついていけたら』でなく、『ママもついていけなかったらよかったのに』という子どもの思い。
「ついていけない」自分でも、大丈夫といってほしい。
「ついていけない」自分にも、誰かがそばにいてほしい。
「ママもついていけなかったらいっしょだね、ぼくは一人ぼっちじゃないね」という思い。
子どもたちに大丈夫を伝えるために。
「ついていけるか」とか「ついてこれるか」という問いそのものをなくしたい。
この子を一人ぼっちにしないために、私たちがこの子についていく。
そのための就学相談会まで、あと3日。