「マイナスの子どもじゃないですよね」
昨日は公立高校一般入試の合格発表でした。
全日制で1万6941人、定時制で431人が合格。
会の子どもたちは5人が合格しました。
□ □ □
でも、Naoさんと、Manaちゃんの二人が、定員内不合格でした。
1月29日ブログに「抗議文」を載せました。
特別配慮申請を提出するときに、受験しないように脅され、受験をあきらめたNさんは、その後、特色化選抜で不合格、今回は定員の割れた定時制高校を受験しましたが、不合格でした。
不合格の知らせを聞いた中学校の校長は、「定員は割れてたんでしょう」と驚いていたそうです。
中学校の先生たちもみんなNaoさんが高校生になれるように応援してくれています。
3年間、つきあった先生たちは、Naoさんが高校生になることを疑っていないのに、どうしてこんないい子を高校は不合格と言えるのか?
中学の校長先生は、「こんな悔しいことはないね」と言ってくれたそうです。
Manaちゃんも8人も定員が空いているのに、不合格でした。
Manaちゃんが書いた「志願理由書」をもう一度、ここに載せます。
□ □ □
高等学校長様 (志願理由等)
私は勉強が苦手です。
テストもあまり出来ません。
でも、学校が大好きです。
先生に色々教えてもらったり、お友達とお話したりして
一緒にいるのがとっても楽しいからです。
中学では三年間演げき部に入ってがんばりました。
みんなと一緒に大会めざして練習をしました。
役をもらえた時は、すごくうれしかったです。
生活委員も三年間続けてがんばりました。
私は高校に行きたいです。
夏休みに高校見学をして、
絶対にF高等学校に行きたいと思いました。
高校に行って、いっぱいお友達を作って、
新しい先生やお友達と一緒にいろんな事をやってみたいです。
修学旅行にも行きたいです。
出来る事もたくさん増やしたいです。
みんなと仲良く楽しい高校生活を送りたいです。
三年間、元気に休まず一生けん命がんばりますので、
どうぞよろしくお願いします。
□ □ □
この子を、定員が空いているのに、不合格にする理由は一つもありません。
私は定時制高校に17年いました。
その高校は、定員内不合格を出さない高校で、一学年5クラスありました。
だから、本当にいろいろな事情の子どもたち、いろんな国の子どもたちがいました。
もし、今も私が定時制高校にいられらとしたら、NaoさんやManaちゃんと高校で過ごしてみたいと心から思います。
どんなに豊かな高校生の姿を見せてもらえることか。
どんなに豊かな子どもたちの関係を見せてもらえることか。
教師としてこれほど幸せなことはないはずなのに。
どうして、一日も、一週間も一緒に生活することせずに、定員が空いているのに、そこに教室の椅子が空いているのに、どうして不合格と言えるのか。
Manaちゃんのお母さんが県教委で次のように話しました。
定員がオーバーしていても入れてほしい気持ちはあるけれど、それでも定員を超える受験生がたくさんいて、そのなかで「総合的に判断」して不合格というなら、まだあきらめようもあります。
でも、定員が8人も空いていて、しかも「障害が理由ではない」「点数が理由ではない」、「綜合的な判断です」。そう言われても、どうしても納得できません。
どうしてこの子が不合格なのか。障害が理由でなく、点数が理由でないなら、この子のどこがいけないのか。
定員が空いているのに落とされる。この子はできないこともいっぱいあるけど、でも、席があいているのに座らせてもらえないような、マイナスの人間じゃないと思うんです。マイナスの子どもじゃないと思うんです…。
私が初めてManaちゃんに出会ったのは、幼稚園の年長さんのとき、秋の就学相談会でした。
それ以来、9年間、Manaちゃんの成長を見てきました。
『席があいているのに座らせてもらえないような、マイナスの人間じゃないと思うんです。マイナスの子どもじゃないと思うんです…。』
その言葉が、ずっと耳に残っています。
『私は勉強が苦手です。
テストもあまり出来ません。
でも、学校が大好きです。
先生に色々教えてもらったり、お友達とお話したりして
一緒にいるのがとっても楽しいからです。』
高校の志願書に、正直に誠実にこんなふうに書ける子どもが、マイナスの子どものわけがない。
『高校に行って、いっぱいお友達を作って、
新しい先生やお友達と一緒にいろんな事をやってみたいです。
修学旅行にも行きたいです。
出来る事もたくさん増やしたいです。
みんなと仲良く楽しい高校生活を送りたいです。
三年間、元気に休まず一生けん命がんばりますので、
どうぞよろしくお願いします。』
この子を、席が空いているのに座らせない校長は、「教育」を仕事にすることを辞めるべきだと私は思います。
心の底から、辞めてくれ、と願います。
コメント一覧
かいとママ
最新の画像もっと見る
最近の「0点でも高校へ」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- ようこそ就園・就学相談会へ(471)
- 就学相談・いろはカルタ(60)
- 手をかすように知恵をかすこと(28)
- 0点でも高校へ(395)
- 手をかりるように知恵をかりること(60)
- 8才の子ども(161)
- 普通学級の介助の専門性(54)
- 医療的ケアと普通学級(90)
- ホームN通信(103)
- 石川憲彦(36)
- 特別支援教育からの転校・転籍(48)
- 分けられること(67)
- ふつう学級の良さは学校を終えてからの方がよくわかる(14)
- 膨大な量の観察学習(32)
- ≪通級≫を考えるために(15)
- 誰かのまなざしを通して人をみること(133)
- この子がさびしくないように(86)
- こだわりの溶ける時間(58)
- 『みつこさんの右手』と三つの守り(21)
- やっちゃんがいく&Naoちゃん+なっち(50)
- 感情の流れをともに生きる(15)
- 自分を支える自分(15)
- こどものことば・こどものこえ・こどものうちゅう(19)
- 受けとめられ体験について(29)
- 関係の自立(28)
- 星になったhide(25)
- トム・キッドウッド(8)
- Halの冒険(56)
- 金曜日は「ものがたり」♪(15)
- 定員内入学拒否という差別(92)
- Niiといっしょ(23)
- フルインクル(45)
- 無条件の肯定的態度と相互性・応答性のある暮らし(26)
- ワニペディア(14)
- 新しい能力(28)
- みっけ(6)
- ワニなつ(351)
- 本のノート(59)
バックナンバー
人気記事