《この社会は「入試」を利用して15歳の子に何をしているか?》(その8)
「これは人権の、命の切り捨てなんですよ」という言葉に、「そんな大げさな」と校長がいう。
「ごめんね。伊織くん、でも点数少なかったからしょうがない」と教頭がいう。
可能な限り定員内不合格出さないという県教委の方針にも反しますよね。
「あくまでも可能な限りなので」。
なぜ可能じゃない?
「それはここでは言えない」
「こんなやり方で圧力かけないでください」
(早川さんの報告から。)
■
一昨年、伊織くんの高校見学について行った時、私もその校長に会っている。私が千葉の高校の資料を渡したら、血相を変えて「0点は困ります。0点は・・・」と声をあげたのをよく覚えている。特別支援学校の校長の経験もあるようで、それまでは余裕で話を聞いていたのに、「0点でも高校へ」という文字を見た途端、人が変わった。
去年も今年も、80人もの定員が空いている中で定員内不合格。去年は、「コミュニケーションができない」「意思の疎通ができなかった」というのが理由だった。県教委の人に「校長に確認した理由ですか?」と尋ねると、「校長に聞いた理由」だと答えた。
この校長の頭の中では、「コミュニケーションができない子」「意思の疎通ができない子」「点数が取れない子」は、高校で学ぶ資格がない、と信じている。
だから、この人は、「コミュニケーションができない子」「意思の疎通ができない子」「点数が取れない子」が来る学校だと思いながら、特別支援学校の校長をやっていたのだ。
■
「子どもの人権」の意味が分からなくても、「校長」は務まる。らしい。
「点数が少なかったからしょうがない」と言える人間が「教頭」になれる。らしい。
80人の「定員」が空いている学校で、このバカ二人は、いったいなんの仕事をしているのか?
「点数少ない子には、人権はない。学ぶ権利もない」と教える仕事。
「そんな大げさな」というだろうか。そういう鈍感な人間が、後に「意思疎通できない人間は生きる価値がない」という人間をつくりだす。
こんな人間が「校長」になれるなら、普通高校の生徒にとっても、特別支援学校の生徒にとっても、悪夢でしかない。
定員内不合格の問題は、すべての子ども、すべての障害児に関わる問題なのだ。
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