「精神科の医療に従事する者たちは、長年にわたって、
人間は他人の助けがなくても精神的に健康でいられる、
そして「自分を好きにならないかぎり、
誰も好きになってくれない」と教えてきた。
女性たちは男なんて必要ないと言い聞かされ、
男性も同じことを言われていた。
人間関係がない人も、たくさんの関係がある人と同じように
健全だと信じられていた。
こうした考え方は、人類の基本的な生態と矛盾する。
我々は社会的な哺乳類であり、他人と関わり、
相互に深く結びつき、依存しあわないと生きていけない。
本当のところ、過去も現在も誰かに愛されていない人間は、
自分を愛することができないのだ。
たった一人では愛する能力を作り出すことはできない。」
『犬として育てられた子ども』
ブルース・ペリー著 紀伊国屋書店
□ □ □
「特殊教育(特別支援教育)に従事する人たちは、
長年にわたって、障害児は、普通の労働や社会生活は
できないのだから、せめて自分の身辺自立くらいができるように、
普通の人間に一歩でも近づくことが、
「教育」の目的だと教えられてきた。
そもそも障害児の親は、「障害児を産んだ」ことを
恥ずかしいと感じているから、
まともに障害を受けとめることなどできないに決まっている。
だから、「障害の受容」のために「母親指導」が必要だと、
教えられてきた。
障害児には、ふつうの子どもたちと友達になれるわけもなく、
ふつうの子どもたちの勉強はもちろん、
遊びや会話にもついていけないに決まっている。
その中にいたら、自分の障害を恥ずかしく感じ
自信をなくしてしまってかわいそうだ。
だから、我々専門家が冷たい世間から守ってあげなくてはいけない。
障害児には、地域の友達や同級生などいなくても
精神的に健康に、その子なりに成長すると教えられてきた。
そうして、反抗的な態度は捨てさせ、
素直で愛される障害者にならなければ、就職もないし、
施設でも誰も好きになってくれなくなってしまう。
だから、素直に言うことを聞くようにしなければならないと
教えられてきた。
障害児には、机上の計算や文字など必要ないから、
お店で買い物の勉強をしたり、畑で作業をしたり、
ミシンの使い方を覚えた方が将来のためだと
教えられてきた。
時には、子どもの頃から親と離れて寄宿舎で暮らした方が、
身辺自立ができるようになる。
地域の普通学級より、少しくらい遠くでも、
専門家のいる特学の方がいいと教えられてきた。」
『手をかりるように知恵をかりること・メモ』
「こうした考え方は、人類の基本的な生態と矛盾する。
我々は社会的な哺乳類であり、他人と関わり、
相互に深く結びつき、依存しあわないと生きていけない。
本当のところ、過去も現在も誰かに愛されていない人間は、
自分を愛することができないのだ。
たった一人では愛する能力を作り出すことはできない。」
『犬として育てられた子ども』
ブルース・ペリー著 紀伊国屋書店
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