「おっきいがっこう」への通学路(その1)
《RONINという通学路》
「世界の果ての通学路」という映画がある。
象やキリンが出没するサバンナを、6歳の妹を連れて通う少年がいる。
パタゴニアの山々を、妹を馬に乗せて通う少年がいる。
壊れかけた車椅子で、二人の弟と学校に通う少年がいる。
私たちの目には、過酷に見える道のりを、そこに生まれた子にはその通学路しかないから、黙って歩く。
くり返し通い、仲間に会える場所。
くり返し同じ笑顔とつながれる場所。
くり返し新しい学びがある場所。
子どもたちが生き生きと生きる場所へ。
その映画を思い出し、ふと伊織くんの3年間は、「おっきいがっこう」への「通学路」だったのかもしれないと思った。
□
私たちの目には、過酷に見える「定員内不合格」と「RONIN」という道のりを、彼らにはその通学路しかないから、黙って歩く。
その先に、仲間の笑顔があり、学びがあり、生き生きと生きられる場所があるから。
ケニアでは毎年、象の襲撃によって犠牲になる子がいるという。
純君も7年という長い通学路の途中だった。
あーさんは5年目の通学路を歩く。
桃子さんは17年目の通学路を今も歩き続ける。
たどり着かない通学路を、私たちはいつまで歩かせ続けるのだろう。
象の襲撃も、崩れ落ちる崖もなく、ただ「定員」という約束を守るだけなのに。
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