《手をかすように知恵をかすこと 2025》(その2)
昔、「見えない」人がいたらと書いた。「必要なら私の目をかしてあげよう」と。
「聞こえない」人がいたら「耳をかしてあげよう」と。
そんなふうに、「できない、できない」という言葉から始めた。
後悔してる。
できない、できない、できない。「できない」で困っているんでしょ。
できる私が手をかしてあげる。それで助かるでしょ。
そんな恥ずかしい言葉に見えてきた。
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私は空を飛べないし、泳いでも海を渡れないけど、羽や背びれをかしてもらわなくていい。怪獣も倒せないけど、ベーターカプセルをかりなくてもいい。「できない」ことを何とかしようとするより、「したい」ことに手をのばす私の声をきいてほしい。
そう書きたかった。
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言葉が嘘をつくと、私も嘘をつくことになる。
さてと、はじめから書き直そう。
【写真:仲村伊織】