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ワニなつノート

空が青いから 白を




空が青いから白をえらんだのです




2月11日(土)に「社会的養護のこどものくらしと自立を考えるシンポジウム」があります。そこで、「援助ホーム」のことを話すことになりました。8分程度なので、とりあえず話すことをメモして、そこから時間に合わせて選べばいいと思いました。


でも、とりあえずのメモが何日も止まらず、A4で70枚を超えました。

病気のために発行できていなかった、ホームの「通信」を始めるにも、いい機会だと思ったのがいけなかったようです。6年分も溜めてしまうと、頭の中はごみ屋敷状態でした。


そんなとき、本屋さんで1冊の本を買ってきました。

「空が青いから白をえらんだのです」  新潮文庫。

副題は「奈良少年刑務所詩集」。

だから、ある詩の一節が、本のタイトルになっているのだろうと思いました。


「空が青いから白をえらんだ」だけじゃ、何だか分かんないよ。
そう思いながら、本を開くと、最初にその「詩」はありました。


「空が青いから白をえらんだのです」

これだけでした。
一行の詩でした。



何が青で、何が白?
えらんだのは何? 白いシャツ?
頭の中でそんなひとり言をつぶやきながら、ふとタイトルをみると、「くも」とあります。

ああ、「白は、雲か」と、分かります。分かりますが、それだけです。
「それで?」

詩の後に、解説文がありました。


【Aくんは、普段はあまりものを言わない子でした。
そんなAくんが、この詩を朗読したとたん、堰を切ったように語りだしたのです。

「今年でおかあさんの七回忌です。
おかあさんは病院で『つらいことがあったら、空を見て。そこにわたしがいるから』とぼくにいってくれました。
それが最期の言葉でした。
おとうさんは、体の弱いおかあさんをいつも殴っていた。
ぼく、小さかったから、何もできなくて……」

Aくんがそう言うと、教室の仲間たちが手を挙げ、次々に語りだしました。

「この詩を書いたことが、Aくんの親孝行やと思いました」

「Aくんのおかあさんは、まっ白でふわふわなんやと思いました」

「ぼくは、おかあさんを知りません。でも、この詩を読んで、空を見たら、ぼくもおかあさんに会えるような気がしました」と言った子は、そのままおいおいと泣き出しました。】




もう一度、詩を読みました。



  くも


空が青いから白をえらんだのです





ことばが、一変していました。
ほんのさっきまで、なに言ってるんだろ?と思っていた自分が、読んでいたことばは、なんだったのだろう。自分が聞いていた詩のことばは、なんだったのだろうと、思いました。


ことばは、むずかしいです。

ことばをきくのは、むずかしいです。
ことばのむこうにある、子どものこえやものがたりをきくのは、ほんとうにむずかしいです。


ふいに、高校生のころ、好きだった八木重吉の詩を思い出しました。



   雲

             八木重吉

くものある日 
くもは かなしい


くものない日
そらは さびしい




さてと。
わたしは8分間で、何を話そう。



       ◇


こども・若者未来基金設立記念
社会的養護のこどものくらしと自立を考えるシンポジウム

日時:2017年2月11日(祝・土)
参加費:無料
場所:千葉市ビジネス支援センター会議室(きぼーる13階)
主催:特定非営利活動法人 ちばこどもおうえんだん(自立支援基金運営委員会)

◇申し込み・お問い合わせ先:
(NPO)ちばこどもおうえんだん 事務局まで
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