子どもにとって失敗することはとても大切なことです。
失敗が「成功のもと」だからではありません。
自分の意思でそれをやろうしたことの失敗であることが、
子どもにとってかけがえのない体験なのです。
それは挑戦した事柄の「失敗」であると同時に、
挑戦した精神の「成功体験」でもあるからです。
その「同時性」の体験が、
子どもにはいつもかけがえのないものなのです。
一度失敗したことについて、なぜ失敗したかを考え、工夫し、成功すること。
それは子どもにとって嬉しい経験には違いありません。
でも、失敗して「あきらめることに成功する」という体験も同じように、
いやそれ以上に大切なことです。
自分で自分の「やりたい」(意思)
「なりたい」(希望)を、自分でやってみて、失敗すること。
そして、何度か挑戦を繰り返し、失敗を繰り返すこと。
成功した人を見て、がんばって、
それでもできないことにいったん折り合いをつけてあきらめること。
「がんばればなんでもできる」「夢はかなう」という「成功」の言葉と同時に、
「人は誰でも、すべてのことができるわけではない」
「すべての夢がかなう人はいない」という「失敗」の言葉。
その両方を、自分の心と身体で経験してみることが、
子どもにとって大切な体験だと私は思います。
自分のみたい夢、自分のあきらめきれない夢、
自分の手でつかもうとせいいっぱい手を伸ばすこと。
つかめると信じて手を伸ばすこと。
その夢をつかみ損ねたとしても、
自分からせいいっぱい手を伸ばしたことの成功体験を同時に体験しながら、
大人になっていくことは大切なことだと思います。
子どもの「できる」を、もっと豊かなものとして取り戻すために、
私たちは、子どもの「失敗」や「できないこと」を、
豊かに取り戻すことが必要なのだと思います。
失敗することも、子どもにとって豊かな体験であるように、
「失敗の成功体験」を、「受けとめられる」ようになりたいと思います。
子どもは、競争したり、追われたりして、学ぶのではなく、
安心できる居場所でこそ、もっともよく学ぶのですから。
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