昨日、「5人のアンパンマンと揺れること」を
ブログに入れたあとに開いた安積遊歩さんの本に、
次の言葉がありました。
さりげなく、すごーいことが書いてあるけど、
心が揺れることは、誰もいっしょだと感じます。
大事にしたいことほど、一人では自信がもてず不安になり、
揺れるのだということも。
□ □ □
私の友人の佐藤きよみさんは、
四肢および体幹麻痺という重い障害をもっている。
その彼女に私は、里親としてフィリピンの子どもを
育ててみないかともちかけた。
いまから9年ほど前のことである。
私は彼女のパートナーが
とても愛情深い男性であることを知っていた。
また、彼女は日本で初めて
人工呼吸器を使って自立生活を始めた人でもある。
先日、きよみさんを東京に呼んで、
「共に生きる」をテーマに講演会を開いた。
彼女は、その講演で、
どんなに子育てで努力してきたかを語ってくれた。
障害については、彼女は私と同様、
自分のからだを変えるのではなく、
ありのままを受け入れてくれるように
社会を変えるべくがんばってきた。
しかし、親役割については、
自分が娘を抱っこできないことや、
ミルクを飲ませてやれないことなどに傷つき、
自分を責めたという。
「もう子育てはムリです」と、
私あてに三回も手紙を書いたそうだ。
書いただけで、実際には一通も出さず、
机の奥深くにお守りとしてとってあるらしい。
彼女があまりにも自分を責めるので、
あるとき、パートナーから言われた。
「そんなに障害のない人と同じ子育てがしたいの?
重い障害をもつあなたが、いま、あきらめたら、
結局は障害のある人に子育てはムリと言われちゃうね」
そのことばで目が覚め、
以来、自分らしい子育てを模索してきたという。
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安積遊歩
『いのちに贈る超自立論』
太郎次郎社エディタス