『知的障害者ともに大学で学ぶ』感想文(3)
ぶつぶつを言いながらも、何度も読み返している。
何でだろう?
私は特別支援教育の専門家が好きじゃないが、中にはこんな人もいるんだと素直に思ってはいる。
「大学入試を経て合格した身体障害、精神障害、発達障害のある学生には高等教育を受けることができるが、その入試を経ることが難しい知的障害者には高等教育を受ける機会はないのだろうかという疑問が生じるとともに、その修学を保障する課題は何かと考えた。」
こんな疑問をもつ大学の先生がいる? しかも特別支援教育(特殊教育)の専門家なのに? こんなふうに思うのは、私の偏見の部分だろうな。
この問題は、高校の「定員内不合格」の問題とまっすぐにつながっているが、この本では「なぜ高校に知的障害者はいないのか?」という問いは出てこない。
□
年にたった3回の公開講座に対して、次のように反対する人もいたという。
「われわれの税金をそんなことに使うな。学んでもそれを活かせる能力のない知的障害者を対象に大学の公開講座を行うとは、税金の無駄遣いだ」、
「大学はエリートを育てるところだから、知的障害者を生涯学習の対象とすることは、大学のミッションとは違う」。
これに対して、田中さんという方がいう。
「特別支援学校高等部卒業後の進学率の圧倒的な低さ(0.4%)に特段の驚きを感じないとしたら・・・、高校進学ですらも首をかしげるところであり、ましてや知的障害者の大学進学など到底考えられないという一般通念に、我々自身が支配されているのではないだろうか」
「定員内不合格」をなくし「高校希望者全入」を目指す私には、「同じ、同じ」と仲良くなりたくなる気もする。
だが、それを超えてくるモヤモヤ感が半端ないのだが。これは何だろう?
それを確かめたくて、読み返している。
(つづく)
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